利用者から「迷いやすい」との声が挙がっていた南大沢文化会館(三上浩一館長)内の案内標識が先ごろ、生まれ変わった。利用者が施設内をスムーズに移動できるように研究・設置されたもので、同館と首都大学東京の学生らが手掛けた。両者は引き続き、その効果を検証しながら「より分かりやすい」施設づくりを進めていく方針を立てている。
今年20周年を迎えた同館は、2種類のホールや会議室が同色(白色)の似た形状の通路でつながっていることなどから、開設当初より「迷路のようだ」との声が利用者から挙がっていた。そのため、同館は、2012年度に人が生活しやすい物的環境を考える「人間工学」の研究を行っている「首都大学東京」システムデザイン学部の笠松慶子教授に改善策を相談。13年4月には、分かりやすい館内標識づくりを共同研究するための契約を同教授研究室と締結した。
複雑な設計が原因
笠松教授は、同館内がホールや会議室など使用目的の異なる様々なテナントに対応するために、複雑な設計になっていることが、「迷路化」を引き起こしていると分析。また、当初設置されていた案内標識が、目的が異なる来館者が使用する複合施設ということを十分に考慮せずに、色や形が「同じ」ものを使用していたことも分かりづらさに拍車をかけたと考えた。
丸や三角で
そこで笠松教授は、自身の研究室の学生や同館らと来館者が「現在地」「目的地がどこにあるのか」をひと目で分かるような案内標識(サイン)づくりを八王子市の支援を受け進めてきた。その結果生まれたのが、丸や三角、四角のシンプルな形で、人が直観的に内容を把握できる標識。例えば、ホールの位置を三角で表したとすると、その印を館内の全体図を表したフロアマップや通路に入れ、ホールまでの道順を示すというものだ。また、標識に赤や紫などの見やすい色を使用することで色覚障害者でも分かりやすいようにした。
研究を継続
同館と笠松研究室は今後も、今回制作した標識をより分かりやすいものにしていくため研究を重ねていく方針だ。そのため、通路などに使用した標識は取り外しやすいカッティングシートで制作。利用者の声を聴き、即座に改善しやすくしている。「効果が実感できた場合、当施設の周辺建物などにも、この標識の使用を薦めたい」と三上館長は話している。
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