市内ではおよそ1万3000人の外国人が暮らしている。彼らの日本語学習を支援しようと国際交流団体による5つの「教室」が活動している。そのひとつ、ボランティア団体「八王子にほんごの会」(西堀孝文代表)は19日(土)、1999年から20年続く日本語スピーチ大会を開催する。地域に定着した継続活動について代表らに話を聞いた。
ボラ団体が大会
ファーストフード店の店員の説明が早口でわからなかった。それを伝えると、今度はとてもゆっくり話してくれた。ところが今度はそれがゆっくり過ぎて、逆に恥ずかしくなってしまった──。昨年のスピーチ大会での発表の1コマだ。
毎年秋に行うスピーチ大会は同会の「名物」。1999年に始まり今年21回目。今回は20人以上が参加予定だ。市多文化共生推進課が「他の団体のスピーチ大会は把握できていない」と説明するように、地元ボランティア団体主催によってここまで地域に根差したものは珍しい。西堀さんは「大会で賞をもらえば母国に帰って報告できる。だから参加する人はきちんと勉強して上位を狙おうとする。レベルが高いです」と説明する。スピーチは4分間、日本で感じたことや考えたことを発表。「彼らの一生懸命さを見てもらいたい。日本人にとっても気づきがある内容です」
160人を支援
同会は外国人に日本語学習のサポートをする目的で92年に発足した。現在166人の支援者(会員)が167人の学習者に対応する。旭町の学園都市センターをはじめ市内合計5カ所で「寺小屋」という名で教室を展開。学習者は中国、ベトナム、インドネシアなどからの研修生や主婦がほとんど。日常生活や職場で生じた疑問点などをマンツーマンで解決していく。西堀さんは「ここは学校でありませんし、われわれは先生でもありません。できるのは会話の相手になることなどです」とその役割を話す。
続く理由は?
日本語スピーチ大会は全国各地で行われているが、昨今は「参加する外国人に大きなメリットがない」という課題もあるそう。その一方、同会で大会運営に長く携わる会員は「学習者が喜ぶのが何よりやりがい」と語る。開催の準備は半年間に及ぶ。苦労は多いが、教室で面倒をみる支援者にとって学習者が大会に向けて努力をする姿は「励み」であり、舞台での振る舞いは「大きな楽しみ」である。入賞した際は支援者も紹介される。「だからみんな続けられる」。運営側の情熱も20年の継続につながっているようだ。
「ドキドキ」「楽しみ」
同会に9年間通うフィリピンから来た女性は今回初めて大会に出場する。「ドキドキしています。日本の生活で感じたことを話したい」と熱心に指導を受ける。今年の春から学ぶインドネシア出身で看護師の女性も「聞いてもらえるのは嬉しいので楽しみ」と意気込む。
スピーチ大会はクリエイトホール(東町)5階ホールで午後1時から。入場は無料。
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