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公開日:2020.11.26

医療ウィッグ用、髪を寄付
市内で広まる「ヘアドネ」

  • 初めてヘアドネーションに協力した沢登さん=提供写真

  • 美容室を通じて寄付する髪の毛を紹介する前田店長



 病気などで髪を失った子どもたちに医療用ウィッグを無償提供する活動「ヘアドネーション」。女優などの発信により、全国的に知名度が上がってきたこの取り組みが、市内でも広がりを見せている。





「断念」の思い引き継ぎ





 宇津木町に住む沢登茜さん(40)は、今月2日、腰まで伸びた髪の毛を31センチカット。初めてへアドネーションを行う団体に寄付をした。





 きっかけは半年前、市内スポーツジムに勤めていたときに出会った会員の女性だった。その女性には、白血病を患う子どもがいた。子どもの治療を終えたとき、女性は「ヘアドネーション」をするため髪を伸ばし始めていたという。だが、子どもの病気が再発。治療を優先するため、手入れが必要な髪を切り、取り組みを断念することになった。





 その話を聞いた沢登さんは「何か自分にできることはないかと思い、代わりに自分がやろうと決心した」という。





 もともと、趣味のタヒチアンダンスで髪を伸ばしていた沢登さん。決心してから約半年間、髪を切らず、腰辺りまで伸ばした。「寄付する髪の状態が重要と聞いたので」と、毎日の洗髪は欠かさず、傷まないようドライヤーで30分かけて乾かしていた。





 夫から紹介されたヘアドネーションを行う団体の市内賛同美容室を訪問。カットした髪31センチを美容室を通じて団体に寄付した。沢登さんは「ひとつのウィッグを製作するのに30人ほどの協力が必要と聞いた。自分にできることは本当に少しなんだなと感じて。それでも、役立ててもらえたら嬉しい」と話す。





 自身のSNSでヘアドネーションをしたことを報告すると想像以上に反響があった。「白髪でもできる?」「傷み具合はどの程度まで?」「自分もやってみようかな」などのメッセージが届いた。ダンスの仲間なども興味を持ってくれた。こうした状況に「すごく嬉しい」と沢登さん。「また伸ばして取り組みたいと思っている」という。





ダンサー、美容師のコラボも





 2009年からヘアドネーション活動に取り組むNPO団体「JHD&C(ジャーダック)」によると現在、同団体の賛同美容室は市内に10店舗。そのひとつ、横山町の美容室「ヘアデザインダジジ」は、2年前に開店して以来、100人以上のドネーションカットの依頼を受けきた。現在は、多い月で10人ほど、幅広い年齢層が参加しているという。前田雄一店長は「中には、『うっかり伸びてしまったので寄付したい』という方も。少しづつ浸透しているように感じます」という。





 昨年、全国から医療美容師とフラダンサーが市内に集結し、ダンサーの髪をカット。ヘアドネーションするイベントが行われた。前田さんも参加した美容師の一人。「ウィッグで心の負担が少しでも軽くなれば。心の健康が美につながる。取り組みが広がると嬉しい」と話す。

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