第22回全国障害者スポーツ大会の精神障害者バレーボール競技関東ブロック予選会が5月21日、22日に栃木県で開催され、八王子市内を拠点に活動する選手らによる東京都選抜チームが優勝を飾った。都選抜は10月29日から31日まで行われる全国大会へ9年ぶりに出場する。
東京都選抜は、選手12人中8人が市内を拠点に練習する「八王子セブンクラブ」所属選手で構成される。同クラブを指導する鈴木功一さん(川口町在住)が監督を務め、練習も同クラブと合同で行われている。
9年ぶりの全国大会出場について、鈴木さんは「選手たちは(喜びで)見たことがない顔をしていたよ。腰を抜かして喜んだ選手も。12人全員が活躍した大会だった」と充実感をにじませた。
あと一歩でミス
東京都選抜が全国大会へ出場したのは2013年。このとき準優勝を果たしている。だが近年、関東ブロック予選会決勝で横浜や埼玉に敗北を喫している。当時から監督を務める鈴木さんは「簡単なミスからボロボロ崩れていた」と振り返る。
そこで19年、鈴木さんは「基礎から徹底しよう」と、練習内容を一から変えた。ゲームを中心としたこれまでの内容から、レシーブやトスを姿勢から見直す基礎練習に半分以上時間を割いた。
コロナ下で関東予選会が2年間、中止となったことも追い風になったという。鈴木さんは「なぜこの練習が必要なのか。何度も何度も説明を繰り返し、ときには話す時間を設けて納得してもらった」と振り返る。
切り替え素早く
鈴木さんは「例えば試合中、相手にブロックされたら気持ちが終わってしまう」と精神障害のある選手について話す。一方、不調だった選手が突然好調になることもあるという。「1セットでガラリと変わるからこそ、ミスしたときや不調のときにどんな声のかけ方がいいのか。この2年間見直していた」とも。
その成果は、関東予選会の決勝戦で表れた。勝敗がフルセットにもつれ込んだ3セット目の試合終盤。セッターがけいれんを起こし、試合から離脱。代わりにコートに入った選手は緊張で「顔面蒼白(そうはく)」だった。
鈴木さんは、コート内で誰が、どう声をかけるのかサインで他の選手に伝え、急きょフォーメーションを変更。代わりの選手の活躍により、流れを引き寄せた。鈴木さんは「言葉で変われるチャンスがある。選手全員の士気が高かったことも勝因。この経験は選手の自信になる」とたたえた。
第22回全国障害者スポーツ大会は個人7競技と団体7競技、オープン競技を実施。全国から5千人以上が参加する。
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