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公開日:2025.07.17

創価大斉藤助教
執筆論文が学術論文賞
産褥婦への支援を調査

  • 表彰状を手にする斉藤助教=同大提供

  • 学術論文賞を受賞した産褥婦支援に関する論文

 丹木町にある創価大学看護学部の斉藤友実助教=人物風土記で紹介=が6月14日、「第19回(2025年度)日本母性看護学会学術論文賞」を受賞した。精神的に不安定になりやすい出産後の母親に対しての、ベテラン助産師の支援の仕方を調査・解析したもので、母性看護学分野における発展に寄与するものとして高く評価された。

 日本母性看護学会は、女性が生涯健康で充実した日々を過ごせるために必要な看護の確立などを目的に1999年に設立。会員数は約770人(2024年時)。学術集会の開催や研究支援など、臨床現場での実践活動を推進。定期的に同学会誌に掲載された原著や研究報告から優れた1論文を選考し、日本母性看護学会学術論文賞として表彰している。

 今年度、同賞を受賞したのは、現在創価大学看護学部の助教として活動する斉藤友実さん。順天堂大学大学院医療看護研究科に在籍していた一昨年に修士論文として同研究科の教授らと共著で発表した論文が、有用性や新規性などの観点から評価された。

SOS出せない母親どう救うか

 論文のタイトルは「援助要請ができない産褥早期の褥婦に対する熟練助産師の支援」。出産直後の産褥早期の母親の中に、援助要請(SOS)を出しにくい人がいることに着目し、熟練助産師がどのようにSOSに気付いて有効な支援を行っているかをまとめた。

 従事歴10年以上の助産師への聞き取りの一例として、助産師は「赤ちゃんへの授乳方法で困っていてもスタッフを呼ばない」などの行動・態度からSOSを要請しにくい母親であることを察知。辛抱強く母親に寄り添い、授乳に関する悩みを細かく聞き取り解決するなど直接的な支援行動を起こすことで、母親と信頼関係を築いたという。

助産師として30年従事

 執筆した斉藤助教は約30年間、助産師・看護師として市外の病院などで従事してきた。警察庁によると、妊娠中から産後1年以内に自殺する女性は22・23年の2年間で110人超に。多くの妊婦や産褥婦と接する中で、さまざまな理由から周産期に自ら命を断つ女性が少なくないことを憂い、「自殺者を少しでも減らしたい」と研究の道に進むことを決めた。

培った経験研究に生かす

 順天堂大学大学院医療看護研究科を卒業後、昨年度から創価大学へ活動の場を移した斉藤助教。臨床現場で長年培った知見をもとに、学術的に研究・解析することで、「熟練助産師でなくても母親に適切なサポートができるような」現場のシステム構築を目指している。

 同学術論文賞の授与式は、6月14日に千葉県の順天堂大学で行われた同学会の学術集会内で実施。出席した斉藤助教は、「評価されたことをうれしく思うと共に、協力してくれた助産師の皆様に感謝します」と喜びを語った。

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