市内乞田に本社を構える測量サービス会社「(株)CSS技術開発」(高城雄三代表取締役=人物風土記で紹介)はこのほど、171社の中小企業が参加した東京商工会議所(三村明夫会頭)主催の「第13回勇気ある経営大賞」で、2位となる優秀賞を受賞した。同大賞で測量会社が表彰されたのは初めてで、多摩市内の企業が受賞したのも初。
「勇気ある経営大賞」は、東京商工会議所が厳しい経営環境の中で革新的、創造的な技術・技能や経営手法等により、独自性のある製品・サービスを生み出した企業、グループの顕彰を行う事業で、今回で13回目。
今年1月から3月まで募集を行った結果、171社の中小企業が応募。その中から、選考ワーキンググループによる書類選考、実地調査、経営者によるプレゼン審査の結果、大賞1社、優秀賞2社、特別賞2社を決定した。その優秀賞を受賞したのが「(株)CSS技術開発」だ。
同社は、造園会社に務めていた高城代表が独立し、1985年に市内豊ヶ丘のアパートの一室で創業。昭和記念公園や多摩動物公園、六本木ヒルズ、羽田空港、東京湾アクアラインなど、身近な公園から国内を代表する建物などの工事測量を中心に事業を手掛け、現在は全国に4支店を展開し、売上高8億円の会社に成長。今年30周年を迎えた。
社員待遇を改善、新製品開発
昨年も同企画に応募したものの、書類提出までの準備期間が短く表彰には至らなかった同社。今年は、その時の選考委員のアドバイスをもとに綿密に準備を行った結果、優秀賞を獲得。受賞要因は、同社の歩みの中で転機となった2つの出来事からの取り組みが評価されたことにあった。
そのひとつは、社員の待遇。創業間もない頃に、現場スタッフ全員が一斉に退職し、ライバル会社を立ち上げたことで経営危機に陥った。「利益を追求するばかりで待遇などは何も考えていなかった」と振り返る高城代表取締役は、それを機に方針を一新。利益を追求しながらも「年間の休みを事前に決めて守る」「有休100%以上取得」「全従業員禁煙」の他、出会いの場が少ない従業員のために「結婚相談所と提携」するなど従業員の働きやすい環境を構築し、約3年で業績を回復させた。
もうひとつは、同社が開発した測量ソフトウェアがライバル会社に違法コピーされ、大きな損害を受ける中で、他社よりも優れた技術向上を図り、造園測量から土木・堤防測量の新規分野へ進出、独自の測量製品を開発し、事業を発展させたことが評価につながった。
「5年後に上場を」
「これまでの苦労が、こうした賞をいただけたことで報われた。逆境がチャンスとなりバネになって、従業員の働きやすい環境づくりや製品を開発することに繋がった。従業員が一丸となって逆境に向かい、進んでくれたおかげ。今後の力にもなる」と高城代表取締役は受賞を喜ぶ。今後の抱負として「今まで以上に従業員が仕事を楽しく、豊かな生活を送れるように社内環境の整備を進めていきたい。5年後の上場、工事測量の日本一の会社をめざし、他社にはない会社をつくっていきたい」と語った。
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