大和市は7月21日、市が不育症治療費助成を行った人の85・2%が出産に至ったという集計結果を発表した。結果を踏まえて市として少子化対策への取り組みを進めるほか、今回の発表によって一般的に認知度の低い不育症やその治療についての啓発にもつなげたい考えだ。
不育症とは厚生労働省の定義では、妊娠はするものの2回以上繰り返す流産や死産などによって、赤ちゃんを授かることができないこととされている。
大和市は2011年10月から、不育症治療に対する治療費助成制度を開始。適用を受けるには所得制限や市税などの滞納がないことなどの規定はあるものの、利用回数に制限はなく、保険診療適応外の医療費のうち、1年あたりの自己負担額を上限30万円で助成している。
市の集計では、15年3月末までの3年半の間にのべ27件の補助金を交付しており、そのうち85・2%で出産に至ったという。
認知度向上のきっかけに
不妊治療は近年、一般的に知られるようになったものの、不育症についてはいまだ認知度は高くなく、治療することで出産に至る可能性を高めることができることを知らない人も少なくない状況といえる。
担当の市すくすく子育て課では「流産を繰り返す理由の一つが病気であるかもしれない。まずはそのことを知ってほしい」と、今回の発表に至った経緯を説明。そのうえで、「きちんと治療することで、子どもを抱くことができる可能性が高くなることを知ってもらいたい。それに向けて、助成制度を活用してもらえたら」と呼びかける。
一般不妊では52・5%
同じく市は今回、不妊治療費助成に関する集計結果も発表した。
市では、タイミング法や薬物療法などによる受精などに取り組む一般不妊治療には10年から、卵子を取り出して体外受精などを行う特定不妊治療には12年から、それぞれ助成を行っている。
助成件数は一般が385件、特定が265件。出産に至った割合は14年3月末までの申請で、一般不妊治療で52・5%、特定不妊治療では27・9%だった。
市では、少子化対策として引き続き治療費を助成していくとしており、「子どもを授かりたいと願う夫婦の経済的負担を少しでも軽減し、出生率の向上につなげたい」と話す。また、出産後も安心して子育てができるよう、環境整備などにも力を入れていくと説明している。
大和版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>