「私とティアンとイーサン食堂」を文芸社から出版した 中村 健一さん 南林間在住 57歳
緯度と経度と全てが重なる
○…「10人に2人、自分の人生と同じような経験をした人がいるかどうか」。本には大学卒業後のワーキングホリデーを過ごしたオーストラリアでの生活、帰国後に開店資金を作るために働いた勤務先での出来事など、南林間の老舗タイ料理屋のオーナーになるまでの歩みを赤裸々に綴る。読んだ人から「面白かった」の一言を聞きたいな、と照れた表情。
○…新聞で見た自分史のコンテストに応募。コロナ禍で店の営業も今まで通りとはいかず、時間もある。故郷の新潟で、かかりつけ医だった医師が書いた自費出版本を読んだ時の面白さは今でも忘れない。本が好きなのもある。惜しくもコンテストでの入選はなかったが「自分の本を1冊作りたかったし、本棚に自分の名前が書かれた背表紙が並ぶのって良いよね」と本の出版に至る。
○…新潟県の出身。高校卒業後は地元を離れ、外に出ることを決めていた。大学入学後はスキー三昧、歴史あるスキー部で結果を求められていたからだ。「別にスキーの推薦で入った大学ではないんですけどね。新潟出身なのと、高校もスキー部だったせいか、勧誘されるがままに」と苦笑。また一方、当時の学生のバイブル沢木耕太郎による紀行小説「深夜特急」に憧れ、バックパッカーでインドに最長3カ月滞在したことも。結果、大学を5年生で卒業。
○…家族は妻と息子。息子は現在、大和市を出て自立。オーストラリア時代に出会ったタイ出身の妻と店を切り盛りする日々も約30年。「色々なことが少しでもずれていたら全く違う方向に進んでた。緯度と経度と縦と横と時間と何もかもがピタッと重なりあって今がある」と妻との出会いをはじめ人生の偶然や面白さを独特の言葉で表現し、首を傾げて笑った。
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