東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所の南側に位置し、一部は避難指示区域となっている広野町に工場を構える(株)メイコー(名屋佑一郎代表取締役社長/本社・綾瀬市大上)の社員の家族ら70人が18日、綾瀬市高齢者福祉会館に避難してきた。同社から、避難所提供依頼を受けた市が急きょ受け入れを決定した。
同社福島工場が操業する双葉郡広野町は太平洋岸に位置する。今回の震災では震度6弱を記録し、津波が押し寄せた街は一部、壊滅的な状態にあるという。
海岸から約2Kmほどの位置に建つ同工場には津波は到達しておらず、人的被害もなかったが、原子力発電所の事故に伴う、避難区域に指定されているため、建物や設備などの被害状況は確認されていないという。
避難区域の拡大を受け同社では従業員家族の避難の検討を開始。16日に本社のある綾瀬市の笠間城治郎市長を本社の総務担当者ら3人が訪問し、避難場所の提供を求めた。これを受け、笠間市長は受け入れを即決。担当課に18日からの受け入れ準備を指示した。
一行は17日午後9時過ぎに福島をバスで出発。翌朝7時過ぎに大上の同社本社に到着し、午前10時過ぎに一時的な避難場所となる高齢者福祉会館に到着すると、憔悴した表情に安堵の色を浮かべた。
避難者の代表役を務める太田富夫さん(46歳)は工場内で被災。いわき市内の自宅は津波が床下まで浸水した。地震発生から2日目にはガソリンスタンドに長蛇の列ができ、4日目にはスーパーから食料品が消えた。介護を必要とする両親を抱え、避難所生活を続けたが原発の状況悪化に伴い両親と姉、4人での県外避難を決断したという。「ギリギリまでいわきに居たかったが仕方ない」。搾り出すように語る。
綾瀬市福祉総務課によると知人宅など、身を寄せる先が見つかり23日時点で3世帯はすでに会館を後にしている。同会館で生活しているのは2歳から83歳までの61人。太田さんは「4月末までに福島に戻れることが最善」とした上で、「1カ月を目途にそれぞれの生活拠点を探す準備を進めている」という。会館の避難所としての使用期限は4月30日までとなっている。
最大120人受入
同市では震災と原発の避難者を受け入れる態勢を整えたことを発表した。福祉会館と中央公民館で最大120人を受け入れる方針。23日時点では受け入れ要請はない。
避難者の支援や支援物資の受け入れなどを進める「災害救援ボランティアセンター」が市からの要請を受け、社会福祉協議会事務局内に22日、設置された。すでに支援ボランティアの登録受付がスタートしている。問合せは事務局【電話】0467(77)8166まで。
支援物資受付
また、23日からは市民からの支援物資提供の受付を開始した。受付品目は水、粉ミルク、生理用品、大人・乳幼児用オムツ、ティッシュペーパー、ウェットティッシュ、携帯ラジオ、タオル、使い捨てカイロ、ゴム手袋、ゴム長靴、マスク。新品で未使用であることが条件。受付は31日まで。問合せは市安全安心課【電話】0467(70)5641まで。
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