仏教精神に基づき、青少幼年育成に優れた業績を上げた団体や個人に贈られる第44回正力松太郎賞に、座間市の宗仲寺前住職の平野仁司(じんし)さん(85)が選ばれた。平野さんは座間市初の幼稚園を開園したほか、全国組織の浄土宗保育協会理事長など要職を歴任した。
同賞は1977年から(公財)全国青少年教化協議会が主催し、今年は1個人1団体が受賞。賞名は、同会設立を提唱した読売新聞社元社主・正力松太郎にちなむ。
徳川家康が手植えしたイチョウの木が現存するなど、家康ゆかりの寺として知られる宗仲寺は、戦前は地域の農繁期託児所として、戦時中には疎開児童を受け入れてきた歴史がある。
27歳で幼稚園設立
同寺の息子として生まれた平野さんは大学在学中の20歳のとき、サークルでの童話の研究をふまえて寺で児童のための「日曜教園」を開園し、1962年には座間市初の幼稚園の開園にこぎつけた。26歳の若さで座間町教育委員も務めた。
2000年に全国に約400ある宗派幼稚園保育園を束ねる協会理事長に就任すると全国各地を奔走し教育指針を作成したほか、指導者育成にも尽力。長年の活動が評価され今回受賞に至った。
受賞者が発表されたのは今年3月。しかし新型コロナウイルスの影響で受賞式は10月6日に延期して開催され、ようやく表彰状が手元に渡った。平野さんは「特定分野で秀でてきたわけではない私が、このような立派な賞を頂けると知ったときは驚いた。とても光栄で、これまでのご褒美だと思っている」と笑顔で受賞の喜びを話す。
「開かれたお寺」に
平野さんが教育のテーマとしてきたのが「知恵と慈悲のある子ども」を分け隔てなく育成すること。活動は自らの園に留まらず、月に一度は地域の小学生に呼びかけて四季折々の行事を開催してきた。「一貫して『開かれたお寺』を目指している。電柱を地下化するなど、視覚的にも居心地の良い場所になるようこだわってきた」としみじみ境内を眺める。
園長や住職を引退した今、「人の喜ぶ姿を見られることが何よりの幸せだった。大変だと感じたことは一度もなかった」とこれまでの人生を振り返る。今後も青少幼年教育には携わり続けたいというが、「自分の時間ができたので、親しい仲間と遊ぶ機会も増やしたいかな」と微笑んだ。
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