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成光学園(座間市緑ケ丘) 保護者が感染、そのとき子は 保護の「窮状」に地域が支援
もし両親がコロナで入院した場合、その子は―。県の取り組みで、コロナで一人取り残された児童を、専用施設で受け入れているのが児童養護施設の成光学園だ。感染リスクと隣合わせで金銭的にも負担が大きいが、地域の支援もありセーフティネットとして機能している。
児童養護施設は、様々な事情で保護者を失った児童や、虐待を受けた子どもにとって家庭に代わる場所。学園の歴史は1939年、初代・矢部金義氏が現在地に農場を開設したことにはじまり、設立当時は「戦災孤児」の受け入れ、高度経済成長期には「コインロッカーベイビー」の保護を積極的に行ってきた。
昨年はコロナの家庭内感染が多くなるにつれ、子どもだけ陰性になるケースが発生。同園では県の要請に応じて、昨年5月から行き場のない子を一時的に保護する事業を始めた。矢部雅文園長は「祖父母世代は重症化リスクが高く面倒を見れない。安心して生活できる場所を提供しなければと思った」と振り返る。
1日保護で「千円」
受け入れは園側の負担が大きく、施設運営にも影響が出た。入所児童の寮と別棟の20人定員寮を閉鎖し専用施設としたため定員が減り、定員に比例して運営費を得る園は収入が大幅に減少した。
また、県が保健師等を充てるため人件費支出はないものの、児童を預かることで支払われる保護費は少額。5日目までは1人約4千円支払われるが、それ以降はたった1日千円に減額。食事3回を全て使い捨て食器で用意し、湯茶もペットボトルで提供。光熱水費、おやつ代、寝具購入も必要で、足が出た分は園の「自腹」となり、保護日数が長期化すればするほど赤字は多くなる。
感染の恐怖
そして頭を悩ます最大の種が、感染リスク。県の相談機関を通して「陰性」の児童のみ受け入れるが、保菌している場合や、後に発症する可能性はある。感染疑いのある児童の生活支援は県職員が担当するが、調整役の園担当者も必要で、この役は入所児童や職員への感染リスクを考え園長ただ一人で担った。矢部園長は「受入準備中に陽性が確認されキャンセルになることも多い。受け入れても残念ながら数日で陽性になる子どももいる。『感染する恐怖』『誰かに感染させる恐怖』を常に抱え、24時間対応にあたってきた」と切実な思いをこぼす。
草の根支援に感謝
園の窮状を知り立ち上がったのは、地域の奉仕団体。矢部園長も所属する座間ロータリークラブが近隣クラブに呼びかけ、有志から次々と支援が寄せられた。一例としては、全部屋にテレビを設置できたという。「コロナ禍の中で支援と心の支えを得られたことは何物にも代えがたい」と矢部園長は感謝を述べた。
「金や物が不足していても、困っている子どもがいれば、やるしかない。地域の皆様には、このように保護者が感染しても必ず子どもを受け入れられる施設があることを知っていただき、安心して新たな年を迎えてほしい」。矢部園長はそう力強く語った。
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