27日に「温習会」を開く海老名市吟詠連盟で会長を務める 井澤 一(はじめ)さん 海老名市国分寺台在住 76歳
師の教えをまっすぐに
○...ビブラートのように揺れる声を交え漢詩の情景を表現する。愛用の教本は表紙が擦り切れるほど使い込み、各ページに赤い波線やメモが書き込まれている。「他界された師匠がつけてくれたんです」と、なでるように指でたどった。耳で師匠の声を聞き、真似て近づき、今はそれを教える立場にある。発表では様々な流派の約80人が日々の積み重ねを披露する。本番までの日々、緊張がゆるむ事はない。
○...徳島県池田町出身。少年時代に山地をつらぬくトンネルやダムの計画があり、地域に土木工事の関係者が多く暮らしていた。その影響もあってか九州大学の土木工学科に進み、電源開発(株)に就職。全国をまわり火力・水力発電所の建設に携わり防波堤や桟橋など工事の進捗を監理した。「完成した発電所が今も暮らしを支えていることが嬉しい」。今でも自称「土木屋」である。
○...海老名市には「相鉄の始発に乗れる」という理由で移住を決めた。昔は田んぼだらけだった駅周辺は、驚くほど様変わりした。海老名市の図書館横に開通したアンダーパスについて「線路の下によく造ったと思う。最高の安全基準が求められていたはず」と絶賛する。笑顔を引き締めて「土木は人の命に係わりますから」。街を歩いても技術者にはあまたの苦労が透けて見える。
○...詩吟を30年続けたおかげで声がはきはきと若々しくなり、電話相手から褒められることも。漢詩も自作し、昨今の酷暑を感じさせる「求涼遮暑坐窓前(りょうをもとめしょをさえぎりそうぜんにざす)」など、四季の風景を組み合わせる。「四苦八苦した」力作は分厚いファイルに何冊もまとめて秘蔵してきた。取材では自分の作品は控えめに紹介。自室の壁に飾った沢山の絵に目を向け「全部孫の作品です」と誇らしげに笑った。
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