♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
日本でピアノと言えばヤマハ、カワイが主流ですが、海外ではスタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタインなど、素晴らしいピアノメーカーが沢山あります。私が留学していたウィーンはベーゼンドルファーの生産地なので、大学のレッスン室でも多く使われていました。このベーゼンドルファーを、偉大な作曲家でありピアニストのフランツ・リストも愛用していました。そんな伝統あるピアノメーカーが集まるヨーロッパで、興味深い体験をしたことがあります。あるイタリアのホールで演奏す際に、スタインウェイ2台とカワイ1台の中から好きなピアノを選別できる機会がありました。試弾する前は当然ヨーロッパの風土に合ったスタインウェイを選ぼうと思っていたのですが、カワイを試弾した途端あまりにも美しい音がホールに響き渡ったのです。もちろん躊躇することなくカワイを選びました。ヨーロッパは湿気が少ないとは言え、日本のピアノが海外の気候によってこれ程素晴らしい音響になるとは想像していませんでした。弦楽器や管楽器のように自分の楽器を持ち運べませんが、ピアニストにとって様々な演奏場所でのピアノとの出会いは、大変楽しみでもあります。
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変化の時代を考える12月22日号 |
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2013年2月1日号
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