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厚木・愛川・清川 人物風土記

公開日:2026.10.09

10月23日から開催される全国障害者スポーツ大会に神奈川県代表の一人として出場する 塩澤 博行さん 厚木市山際在住 61歳

  • 塩澤 博行さん (写真1)

光失うも白杖から陸上へ

 ○…全盲のパラアスリートとして、青森県で10月23日から開催される第25回全国障害者スポーツ大会の陸上競技に出場する。視覚障害者の区分で100mと1500mの2種目に挑む神奈川県代表は塩澤さんだけだ。10月5日には山口貴裕市長を表敬訪問し、晴れやかな表情で大会への意気込みを語った。温和で明るい笑顔の奥には、全国の大舞台に向けた熱い闘志が静かに燃えている。

 ○…東京都文京区の出身。30年ほど前に厚木市山際へ。日産自動車や関連会社で、車の空力などを専門とするエンジニアとして第一線で活躍してきた。しかし、40代後半で原因不明の低眼圧緑内障を発症し、徐々に視野が欠けて光を失った。次第に見えなくなる恐怖や葛藤もあったが、「家族を守りたい」「仕事を続けたい」という強い思いで現状を受け入れ、下を向くことなく前を向いて歩み続けた。

 ○…意外にも若い頃はほとんど運動の経験はなく、パラスポーツとの出会いは七沢にある自立支援ホームでの訓練がきっかけだった。「白杖で歩けるようになると、今度は走りたくなった」と、運動の楽しさを実感。今では視覚障害者向けの野球や卓球、柔術などにも挑戦する。「100m走も本格的に始めたのはこの1年ほど。まだまだ速くなれますよ」と笑う。「継続は力なり」をモットーに、毎日のトレーニングを欠かさない。

 ○…娘は独立し、今は妻と2人暮らし。「家族の支えがあったからこそ、今の自分がある」と感謝を語る。かつては自らハンドルを握りレースにも参戦したほどの車好きで「いつか自動運転の車で思い切りドリフトをしてみたい」と、無邪気な笑顔を見せる。困難を乗り越え、明るく風を切って走るその姿は、周囲に勇気を与えている。

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