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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2011.04.08

「しらかばベビーホーム・子どもの家」を運営する社会福祉法人誠心会の理事長
浜田(はまだ)徹さん
大津町在住 68歳

献身の精神 人と人つなぐ



 ○…兄弟の中で一番気が優しい。ついつい人の面倒を見てしまうその性格は、小さいころから変わらない。近所に住んでいた児童相談所職員・浜田幸生さんの呼びかけに応え、中高生10人と「しらかば会」を結成したのは、中学二年のとき。孤児院や老人ホームで、演劇や指人形を披露してまわった。そこで感じた人とふれあうことの楽しさ。いつしか仲間もどんどん増えていった。幸生さんとは、家族同然のつきあいになった。



 ○…「先生」と仰ぐ幸生さんが誠心会を設立し、”しらかば”という名の保育園をはじめたのと同じ頃、30歳で起業した。最初はガラス加工会社だったが、自ら長所と認める決断力で、新規事業にもどんどん挑戦した。ついには日本を飛び出し、サイパン島で造船業を開始。10年間心血を注いだ事業は、観光地サイパンの発展を影で支えた。「人がよすぎて失敗したこともあります」と恥ずかしそうに語るが、その人柄ゆえ、人を惹きつける。いつも誰かが力を貸してくれる。



 ○…一緒に児童養護施設を立ち上げたい―。幸生さんの遺志を継いだ息子・和幸さんの申し出を、いつもの調子で引き受けたのは3年前。誠心会の理事長に就任すると、人脈を生かして土地や人材の確保にかけずりまわった。そして今月1日、晴れて開所を迎えた。「できる限り、ふつうの子と同じ環境で子どもたちを育てたいんです」。明るい居住スペースや広い個室に、そんな思いが滲み出る。



 ○…「先生への恩返しと思って」ここまで駆け抜けてきたが、いずれは和幸さんにすべてを任せるつもりだという。ただその前に、果たしたい夢がある。子どもたちが本当の家庭のように暮らせる、もっと小さな施設を建てることだ。「ここを巣立っても、子どもたちがいつでも帰ってこれるところにしていかなくちゃね」。輝きに満ちた目は、”しらかば会の徹少年”を彷彿とさせる。夢の実現はまだ、始まったばかりだ。

 

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