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横須賀・三浦 文化

公開日:2016.02.05

片岡昌アトリエ
内に秘めた風刺精神人形が語りかけてくる
生前の仕事場を美術館に

  • 人形とともに数多く手掛けた作品が仮面。中央に飾られているのは「森の神」

  • 片岡 昌(1932〜2013)

 日本を代表する人形作家・現代美術家で2013年に亡くなった片岡昌(あきら)氏(享年81歳)の業績を伝える私設ギャラリーを、妻の良子さんが開設した。晩年を過ごした秋谷の住居兼アトリエスペースを活用し、作品展示とともにそのままの状態となっている仕事場を見せる。



 余生をのんびり過ごしながら創作活動に打ち込みたいと、10年前に横浜市から移住した片岡夫妻。都心の喧騒から離れた静けさを持つ三浦半島を「島」と称し、愛着を持っていた昌氏にちなんでギャラリーは「島立美術館ヨコスカ西海岸」と名付けた。相模湾を望む山あいの住宅街の一角で、良子さんが来館者を迎える。



 昌氏は1950年に人形劇団「ひとみ座」に美術担当として入団。NHKテレビで放映され人気を博した「ひょっこりひょうたん島」の人形デザイン・製作のほとんどを手掛けた。その数2000体以上。これと並行して自身の創作活動も精力的に行い、数多くの作品を遺している。大半は木を素材にした造形作品。独学で身につけた加工技術を駆使し、人や動物、自然、神など独自の表現を追求した。奇抜で斬新な作品群のすべてに通底するのはユーモアと風刺の精神。幼少期の戦争体験をモチーフにしたものなどもある。



 今月5日(金)から始まる「島開き」展では、生前に手掛けた作品を数点飾る。木材の加工に用いた旧式の電動糸鋸盤や作業台、工具なども紹介する。「『仕事・趣味・あそび』の境界線なく、創作活動に打ち込んだ人。自身の美術館開設の夢を叶えてあげたかった」と良子さん。会期は11月27日(日)まで。敷地内の倉庫に数百点の作品が保管されており、これを整理して季節ごとに一部展示替えしていく。このほか、別の作家に展示スペースとして貸し出すことも考えているという。



■秋谷1の22の15/開館日は金・土・日曜の正午から日没まで/駐車場有/【電話】046・857・6506





内に秘めた風刺精神



 鎌倉市出身。湘南高校を経済的な理由で中退し、18歳で人形劇団「ひとみ座」に入団。美術担当として人形制作に情熱を傾け、一体一体に魂を吹き込んだ。携わった代表作に「ひょっこりひょうたん島」がある。番組放送当初は、喜怒哀楽を排し、人間性をリアルに表現した人形が「グロテスク」とも言われたが、後に”日本人形劇”の傑作として評価を得るようになった。現代美術家としての顔も持ち、生前は全国のアートスペースなどで個展で開いた。過去の作品はWEB上にある「片岡昌アーカイブ・プロジェクト」で確認できる。【URL】http://akirakataoka.com/

 

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