横須賀市が「ふるさと納税」の返礼品送付を実施してから1年が経った。納税PRの一環として1万円以上の個人寄附者を対象に、よこすかポートマーケットの地場産物を記念品として発送。昨年6月から今年5月まで1年間の寄附金総額は約3500万円だった。今年度は記念品の種類を増やし、10月には「ポイント制」も導入して制度の充実を図る。
「ふるさと納税」は出身地やゆかりの町、または応援したい自治体などに寄附する制度。2千円を超える部分については、市民税と所得税が一部控除される。注目されているのは、寄附者に対して贈られる地元特産などの”返礼品”だ。
横須賀市では、納税推進策として、1万円以上の寄附に対して、よこすかポートマーケットで扱う地場産品(8種類)を記念品として贈る事業を昨年6月から開始。市財政課によると、今年5月末までの1年間で2311件、3449万4500円の寄附があった。記念品送付のなかった前年度(2014年度)は、約143万円(10件)だった。
市では寄附金の使途指定先に11の基金を設けており、昨年度は「子育て」「福祉」への寄附が多かったという。その内訳は市内在住者が3割、市外からが7割だった。納税時に記念品の送り先を指定することもできるため、市外への贈答としても活用可能だという。
今年度は5000万円を目標としており、4月からは、横須賀商工会議所と連携して記念品を14種加え、充実を図る。さらに10月からは「ポイント制度」を導入。寄附金額に応じてポイントを付与し、市内特産物を集めたカタログから商品を選ぶ方式を取り入れる。
自治体間競争も過熱
県内の動向はどうか。昨年度の神奈川県と市町村の寄附金額合計は約19億6千万で、前年から約9億円増となっている。横須賀市同様、15年度から返礼品送付を始めた自治体も多く、近隣では、逗子市と葉山町も今年度中に導入する方向だという。
総務省が昨年、県内の各自治体に行ったアンケートでは、返礼品制度を設けた理由を「知名度アップとシティセールス」「街の魅力をPRし、来訪から定住に繋げたい」などと、地域の産業・経済の活性化に期する回答が多かった。
一方で、「地域間格差が広がる」「費用負担が大きい」「寄附は無償で提供されるべき」「制度が理解されているか疑問」と本来の趣旨から外れることを危惧する声も多く、住民税控除による税収減も新たな課題となっている。だが、そうした意見を持ちつつも、他自治体の動向を見ながら実施しているのが現状だ。
また、神奈川県は商品ではなく、ダイビングやサーフィン、工場夜景クルーズといった体験型ツアーを企画するなど差異化を狙う動きもあり、「返礼品合戦」はさらに熱を帯びている。
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