「将来に負担を残さない」。ハコモノ主義からの脱却を市長就任時から訴え、市債の圧縮に努めてきた。成果として誇るのは、8年間で約214億円を削減した財政再建の実績だ。中央からの補助金や交付金で大型事業を進める旧来型の自治体経営を真っ向から否定。「時計の針を戻すのか、それとも前に進めていくのか」と刺激的な言葉を用い、市政の継続を訴える。
信条とする「伝える政治」の実践として、朝夕の駅立ちを支援者らとともに今も続ける。市政の課題や方向性を記した自作のチラシを手渡しながら、市民の要望に耳を傾ける独自の活動スタイルは、政治をめざす後進の若者を生み出すまでになった。
今月2日には、2期目に掲げた政策集の検証結果を発表。達成度合いを本人は70・0点と採点。在宅医療の推進で「自宅死亡率」が全国1位となった成果に胸を張る一方、喫緊の課題である人口の転出入の差をゼロにする取り組みが進んでいない現状をマイナスポイントとした。対して、大学教授などの識者で組織する外部の検証チームは80・8点と評価。ひところ政治の舞台で脚光を浴びたマニフェスト(公約)が世間から忘れ去られつつある中で、「実績を誇るだけでなく、積み残した課題を明確化して市民と情報共有しようとする姿勢は立派」と検証チームの代表は話した。3期目に取り組む政策も近く発表する予定だ。これには数値目標や年限をしっかり書き込むという。
BBQパークの設置問題に、日本丸の寄港にまつわる虚偽答弁を理由とする「100条委員会」の設置。割引記載のある名刺の使用実態も明るみとなり、議会を中心に市長の適性を問う強い批判が巻き起こった。
そんな逆風に直面しながらも、本人にひるむ様子は一切見られない。とある団体の会合で行った挨拶。5月に津久井浜海岸で初めて行われたウインドサーフィンワールドカップの成功を報告しながら、こう話した。「ウインドサーフィンは私にぴったりのスポーツです。なぜなら風上に向かって走ることができるから。今の私にも強い向い風が吹いていますが、力強く前に進んでいきたいと思います」
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