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元教員・故熊谷さん写真展 モノクロ作品に秘めた想い 医師と家族が企画「瞬間の意味感じて」

文化

掲載号:2021年4月2日号

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2019年秋の全日本クラシックカメラクラブ作品展に出品した「横須賀旧軍港衛兵詰所」
2019年秋の全日本クラシックカメラクラブ作品展に出品した「横須賀旧軍港衛兵詰所」

 「祖父の手掛けた作品を多くの人に見てもらいたい」―。福祉交流拠点「しろいにじの家」(鶴が丘2の3の9)で4月10日(土)・11日(日)、熊谷正夫さん(汐入町)の写真展「光画」が開かれる。

*  *  *

 1928年生まれの熊谷さん。50年から市内の市立小中学校で教鞭を執り、根岸小で校長を務めて退職。「母が幼いころから、写真を撮っていたようです」と孫の山田彩季さん(都内在住)が語るように、いつも傍らにはカメラがあったという。写真教室や同好会などで講師を務め、自宅には額装した作品がずらり。90歳を超えてもなお、写真への意欲は変わらなかったが、1月下旬にすい臓がんが判明、自宅での療養を選んだ。

 そこで出会ったのが、三輪医院の千場純院長だった。「こんなにたくさんの作品があるのなら、多くの人に見てもらい、生きる力をつなげたい」―と家族に写真展の開催を相談。3月上旬のことだった。在宅療養の現場に長年携わっている千場院長。数年前、書道に親しんできた末期がん患者のために「人生の一文字展」を開いたことがあった。熊谷さん宅にある作品の数々に、この記憶が呼び起こされた。「楽しかった思い出は人を元気にする力がある。本人の励みになれば」という想いを強くした。

「ベス単」にこだわり

 熊谷さんがこよなく愛したのは、1910年代に発売された、コダック社のカメラ「ヴェスト・ポケット・コダック」。愛好家には「ベス単」と言われるもので、クラシックカメラクラブの作品展には、これで撮影したものを年2回欠かさず出品。展示タイトルを「光画」としたのは、ベス単の「光大派」と言われる淡いモノクロ画に傾倒していたことも理由の一つだ。ドブ板や汐入駅前、半島の海岸、鎌倉の古刹―など「何気ない風景の、その瞬間の”意味”に気付けるか」。病床で言葉を交わす中で孫の彩季さんは、そう語る祖父の人柄に改めて触れることができたという。

縁ある人に見てほしい

 2月下旬まではパソコンに向かって、自分史を書き連ねていたという熊谷さん。写真展の企画を喜んでいたが、病状の進行が早く、3月半ばになると、移動したりしゃべったりするのもやっと。「本人に負担をかけずに花道を飾りたい」ーと周囲が準備を進める中、3月18日、息を引き取った。「当日、会場まで足を運ぶことが難しくても、展示の様子を自宅に動画でつなげて励ますことができれば」―そんな案もあった矢先のことだった。来場を呼び掛けるために急遽作成したチラシを目にすることなく空に旅立った。

 当初の願いとは違った形になったが「学校関係や写真講座など縁のあった人に見てもらいたい」という家族の想いもあり、写真展は予定通りに開催することを決めた。写真と随筆をパネルにした作品約50点のほか、大切にしていたクラシックカメラのコレクションも並べるという。

 両日とも午前11時から午後3時、電話での事前申込制。しろいにじの家【電話】046・884・8844

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