横須賀・三浦
公開日:2022.03.25
学校制服最前線☆ 【第3回】
「規律」か「機能性」か
午前8時すぎ、登校する中学生が着用しているのは、学校指定のジャージ。標準服(制服)ではなく、なぜジャージなのか。制服はいつ着ているのか―。ここ数年で、学校生活での着用ルールが様変わりしている。今回は、ジャージの位置づけから制服の在り方について考察する。
コロナで広がるジャージ登校
これまで、学校指定のジャージ(体操服)は体育の授業や部活などでの着用―と規定している学校が多かった。それがここ数年で変化しており、ジャージでの登下校や授業参加が認められいる。標準服を含めた着用ルールが各校に任されている中で、こうした動きには2つの理由がある。横須賀市教育委員会は「温暖化の影響による暑さ対策で、健康面や機能面を考えると、ジャージのほうが過ごしやすいと判断する学校が多い」と話す。これに加えて、「感染対策として家庭で毎日洗濯しやすい」「体育の授業で着替える際、密になることを避けるため」など新型コロナ予防の影響も大きい。ジャージは男女別ではないため、着用による性差を感じることも少ない。
それでは、いつ制服を着ているのか―。式典や定期テスト時などでの着用をルールとしている学校もあり「全く着ない」訳ではないが、それでも「着る機会が少なすぎる」「成長に合わせて買い替えるのは大変」などの保護者の声もある。学校により価格に若干の差はあるが、1着3万〜4万。これにジャージを加えると、入学時の「スクールユニフォーム」の総額は6〜7万円と家計の負担も大きい。機能性や着心地を優先すると、費用に対する標準服の存在意義が薄れてしまうが、ジャージと制服「どちらも可」「状況に合わせて選択する」という扱いであるのが現状だ。
制服なしの学校も
かつて制服には、生活指導や規律を守るためのもの、という考え方があったが、その意味合いも変わってきている。
隣の横浜市ではいくつかの公立中で標準服着用のルールがない。金沢区のある中学校が私服通学に切り替えたのが20年近く前。学校ジャージや私服で登校し、式典などではいわゆる標準服やそれに見合った服装という指定があるのみだという。学校関係者は「ジェンダー平等など時代が変わる中で、その場でふさわしいものを家庭が判断している形。(私服であることで)学校での指導に影響はない」と話す。
市内では近年、標準服をブレザー型に更改したりポロシャツを導入したりする学校が増えているが、ジャージ着用も含めて、生徒自身が気候や体調、TPOで何を着るかを「選ぶ」時代になりつつあるようだ。
(連載終わり)
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