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公開日:2023.01.13
絶滅昆虫、観音崎で発見
県内で約60年ぶり
神奈川県内の絶滅の恐れのある野生生物をまとめた「レッドリスト2006」で、絶滅種となっている水生昆虫の「コガタノゲンゴロウ」。横須賀市内では約60年ぶりとなる個体が昨夏、観音崎自然博物館で発見され、12月末発行の昆虫専門誌に採集時の様子などを記した論文が掲載された。同館では標本を展示しており、「変化する三浦半島の生態系について知ってもらえたら」と話している。
コガタノゲンゴロウ
コガタノゲンゴロウは、水田や湿地、池沼などを生息地とする体長2〜3cmほどの水生昆虫。かつては沖縄・九州〜本州に広く分布し、田んぼなどでよく見られた身近な虫だったが、1950〜60年代を境に全国的に減少した。沖縄など西南日本の一部を除いてほぼ絶滅したとされ、環境省も「絶滅危惧II類」に分類している。発見者の1人で、学芸員の佐野真吾さんによると、同時期に行われた大量の農薬散布による水質汚染や圃場の乾田化などが減少の原因として考えられている。
東京湾を渡ってきた?
佐野さんと「ジュニア生物調査隊」の亀岡讓さん(浦賀中2年)が、コガタノゲンゴロウを発見したのは昨年8月。同館で飼育するゲンゴロウ属のエサとなるヤゴを集めるために屋上に設置している大型水槽での作業中、偶然採集に成功したという。大きさや形、黄褐色の縁取りなどの特徴で「すぐにわかった」と佐野さん。全部で3個体が見つかり、そのうち1匹は生きた状態だった。
1957年に追浜で採取された個体をはじめ、県内で同種の標本が残されている記録地は9カ所。一番新しいものでも60年代で、「神奈川で約60年ぶりと聞いて、嬉しかった」と亀岡さんは喜びを語った。
同地では、これまでにも「カミヤコガシラミズムシ」や「シマゲンゴロウ」など、三浦半島に確実な生息地が存在しない絶滅種または絶滅危惧種の昆虫が発見されていることや、千葉県で2017年・19年にコガタノゲンゴロウの記録が30年ぶりに報告されており、房総半島から飛来したと見られている。
なお、三浦半島内での生息の記録や採集時の詳細をまとめた論文は、昨年12月末発行の専門雑誌『月刊むし』1月号に掲載されており、館内で標本を見ることができる。
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