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公開日:2025.07.11

AI×ドローン
密漁対策 産学官連携で
横須賀市内で実証実験

  • 実証実験で密漁行為を監視するドローン(左上)

 サザエやアワビなどの水産資源の密漁対策にAIとドローンを用いる取り組みが横須賀市内で始まった。関東学院大学・神奈川県立海洋科学高校・横須賀市・横須賀海上保安部の4者の産学官連携によって進められている取り組み。7月5日には、市内の沿岸部で海上保安官を密漁者役に見立て、ドローンが撮影。搭載したAIに「密漁行為か否か」を認識させる実証実験が行われた。将来的にはドローンが密漁者を自動で検知し、海上保安部に即時通報できるシステムの構築を目指している。

3千枚の画像から動作学習

 今回の取り組みは、同大理工学部の元木誠教授が開発を進めている、AI技術を活用した密漁取り締まりシステムに、ドローンの登録講習機関でもある海洋科学高校などが全面協力し実現した。

 第一段階の実験は長井漁港で実施された。付近にある同校の実習場からドローンを飛行させ、密漁行為を模した現場の映像を撮影。そこから抽出した静止画約3千枚を収集した。特に網や、貝を捕る道具などを持っているか、あるいは密漁を思わせる特定のしぐさやポージングをしているかなども含めて学習させ、より詳細な判別を可能にする材料にしていく。これを元に8月下旬には、ドローンを自律航行させ、自動検知が行えるかを検証する。

毎年50人超が検挙

 全国的な問題として、漁業者が生業としている水産資源を無断で採取する密漁者が絶えず、対策が喫緊の課題となっている。同保安部によると、管轄する横須賀市・三浦市・逗子市、葉山町では直近5年で毎年平均約54人が検挙されている。

 同保安部はこれまで、目視で監視し、証拠となる犯行の様子と人物特定のため、カメラで収めるなどのパトロールを行ってきた。今回のシステムが実現すると、人員削減や効率化、犯罪への抑止力向上が期待できる。「何となくルールは知っているが、そのうえで密漁をしているケースも多い。注意喚起にもなれば」と同保安部は期待を寄せている。

 元木教授は「システムを確立し、被害がある他の市町村などでも活用していけたら」と話している。

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