少子高齢化に伴って、訪問看護や生活援助など高齢者向けの福祉サービスの需要が全国的に高まっている。県下2番目の高齢化率を持つ逗子市でもニーズは年々増加。市内福祉団体の数は100を超えるが、一方で現場の人材不足が深刻化している。中には人手不足などから閉鎖に追い込まれる事業所もあるといい、働き手の確保に担当者は頭を悩ませている。
「うちも1年前からヘルパーの募集を出していますが、未だに応募がありません」。こう話すのは逗子市社会福祉協議会の服部誠さん。こうした状況は高齢者向けの事業所に限ったことではなく、福祉の現場では業種を問わず、慢性的な人手不足が問題になっているという。同社協では今年3月、市内の事業所を対象に求人を兼ねた合同の説明会を開催したところ、老人ホームやグループホーム、障がい者支援施設など人材を求める団体がずらりと並んだ。同社協では事業所を繋ぐ「逗子人(ずしっと)ネット」を展開し、情報交換や働き手の紹介などに取り組む。だが、根本的な解決にはなっていないのが現状だ。
人手不足の原因の一端は、給与と仕事内容のかい離にあると服部さんは指摘する。「民間の有料老人ホームなどを除けば、福祉の仕事は一般的な仕事と比べて基本的に給料が安い。加えて肉体的、精神的に負荷のかかる仕事も少なくなく、『割が合わない』と思われがち。人が辞めた結果、残された人間にさらに負荷が集中し、また人が離れる悪循環に陥っている」
「ボランティア精神が不可欠」
桜山に事業所を構える「らら・むーぶ逗子葉山」(櫻井富美子理事長)では3年前から高齢者や障がい者向けのケア付き外出支援サービスを始めた。メンバー全員が経営者となり、報酬を分配する「ワーカーズコレクティブ」の運営方式で現在実働スタッフは約10人。利用登録者は年々増え100人に迫るまでになったが、やはり人材不足が運営の足かせになっている。
報酬は実費を除けば1時間あたり基本720円。最低賃金に届かないこともあって仕事内容を説明しても関心を持ってもらうのが難しいという。「利用者はタクシーよりもはるかに安価に利用でき、間違いなく人助けになっているはずだが収入期待の人にはどうしても不向き。活動はボランティアとの割り切りが欠かせない」とメンバーの一人は話す。連休前後など日によって予約が集中し、病院の通院など急きょ舞い込む依頼も少なくない。「今はぎりぎり応えられているが、今後も安定してサービスを提供するためには何とかしてメンバーを増やさないと」と危機感を募らせた。
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