葉山町は職員に対して支給している10%の地域手当を2017年4月までに段階的に引き下げ、国基準の6%に改める。国が支給超過を根拠として特別交付税を減額していることについて「町民の不利益に換えられない」と判断したためで、現在開会中の葉山町議会第2回定例会に条例改正案を提出。7日、本会議にかけられ全会一致で可決した。
地域手当は物価や賃金などの地域間格差是正のために、基本給に加算して公務員に対して支払われる。条例は7月1日を施行日とし、来年3月までを経過期間として8%、4月以降は6%に改めると定めている。
国は人口規模や賃金指数に応じて国家公務員に準じた支給割合を定めており、5万人以上の市については3〜20%、それ以外の市や町村は6%を上限としている。町は地域手当が導入される以前から「調整手当」として10%を支給しており、06年4月の導入後も踏襲。国基準を上回っていたが、近隣の逗子市や鎌倉市は15%、横須賀市は10%を支給しており、職員の労働条件を近隣自治体と揃えることなどを理由に基準超過の状態が続いていた。
だが、このことが国から財政的余力があるとみなされ、一種の制裁措置として、財政需要などに応じて支給する特別交付税を同年から減額。町には例年4千万円前後が交付されていたが、年度を重ねるごとに減額幅は大きくなり、15年度には全額が打ち切られた。町によると10年間で国から減額された特別交付税の総額は約1億5400万円にのぼる。町にとっては町民サービスの質に影響を与える金額で、早期の見直しが迫られていた。
地域手当をめぐっては、町議会が昨年2月と6月定例会で引き下げを求めて議員提案で審議したが、いずれも「町長が労使交渉で決めるべき」として賛成少数で否決。その後は人件費削減を公約に掲げた山梨崇仁町長が昨年12月に再選し、今年2月から職員組合と交渉を重ねていた。山梨町長は地域手当引き下げについて「職員組合と町行政が共通の課題として認識し一丸になれたことで早期解決に繋がった。今後は減額措置廃止を国に要望していくとともに、職員が働きやすい職場環境の整備に取り組みたい」とコメントした。
町は今定例会に職員給与の引き下げ分を含む一般会計と特別会計補正予算案を提出。歳出では給与の見直し分約1600万円を減額した一方、歳入では約1千万円の特別交付税増額を見込んだ。
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