高齢運転者による深刻な交通事故が全国的に相次いでいる。先月28日には横浜市港南区で集団登校中の小学生の列に87歳の男性が運転する軽トラックが突っ込み、1年生の男児が死亡した。そうした中、悲劇を少しでも減らそうと民間の事業所が運転免許の自主返納を後押しする動きがある。
運転経歴証明書を提示いただいた方に、お買い上げの5%を割引します――。
一色にあるスーパー「スズキヤ葉山店」では、11月から免許を自主返納した人への独自サービスを始めた。酒や煙草、書籍など一部対象外の商品もあるが、食品や雑貨など消費税を抜いた本体価格の5%が割引になる。現状は同店のみだが、同社では来年3月までをめどに逗子店や鵠沼店など全店で導入する方針という。
葉山署から自主返納推進の協力要請を受け、「自分も車通勤をしていて、(高齢運転者が)多いという実感はあった。昨今の報道もあるので、交通事故の減少に少しでも役立てば」と店長の平田直史さんは経緯を話す。開始から半月ほどで利用はまばらだが、今後サービスを継続させていくつもりだ。
高齢者が多い葉山町ではドライバーの高齢化も著しい。葉山署によると免許人口に占める65歳以上の割合は26・3%(10月末現在)と県平均を8・3%上回っており、県下の警察署ごとの統計でも津久井、三崎、大磯に次いで4番目に高い(横浜水上警察除く)。さらに人身事故の中で高齢者が関係するものも85件中36件(同)と全体の4割を超えている。
ただ免許返納については「生活の足」を失い、移動手段が狭まることを敬遠するケースが少なくない。制度としての強制力もなく、「制度の案内をするなど間接的に促すことしかできないのが現状」(葉山署)という。
道交法改正で来年3月からは75歳以上の認知機能検査が導入される。だが事故は認知症だけが原因とは限らず、運動機能や判断力の低下が招く場合も多い。同署では「悲惨な事故が起きる前に、ご本人だけでなく家族ぐるみで返納を考えてほしい」と呼びかけている。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|