全国の自治体で課題となっている公共施設の維持管理、更新等を戦略的に行うため、葉山町は「みんなの公共施設未来プロジェクト」を立ち上げた。議論を行うための「材料集め」が目的で、今年度中に、建物の劣化状況の把握や修繕・更新費の算出などを行い、施設のあり方を含めた検討を進める。
人口減少や少子高齢化、それに伴う税収減などにより、公共施設を維持管理する環境は全国の自治体で厳しさを増している。
葉山町では2017年、公共施設等総合管理計画の作成にあたり、現在保有する施設に必要な費用を試算。すべての施設を維持すると仮定した場合、改修・更新費は今後40年で483億円、1年あたりでは12・1億円にのぼると推計した。この金額は、直近10年の投資的経費の平均額9・3億円を上回る。
こうした厳しい財政状況を踏まえ、町は18年3月に第一次実施計画(24年度まで7カ年)を策定。大規模な改修や修繕を念頭に、どの施設や機能を維持していくのか、公共施設のあり方についての議論・検討を深めるための「材料」を調査・収集する。
町は7日、公募型プロポーザルを公表。事業者の選定を経て、今年度中に劣化状況調査や経費の試算が出る見込みという。
劣化診断の対象は町立小中学校や町役場本庁舎、福祉文化会館、保健センター、元町会館・児童館など、14施設にのぼる。町公共施設課によれば、学校トイレの改善等、緊急を要する箇所については個別に対応していくとする。
ニーズも変化
葉山町では、昭和40年代から50年代の急激な人口増加を背景に公共施設の整備が進められた。
多くの建物が建設から30年が経過し、改修や建て替えを検討するべき時期に来ているとして、町は14年、「公共施設白書」を策定。
この中で、ハード面の老朽化だけでなく、社会ニーズの変化による機能面の劣化も進んでいるとの指摘がされた。維持管理の負担や将来の更新料が課題とされ、長寿命化や利活用と再配置、財源の確保などの対策が挙げられた。これに基づき町は17年に公共施設等総合管理計画、翌年に同第一次実施計画を策定し、今年度予算に4963万円を計上した。
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