新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多大な影響を受けている外食産業。逗子葉山エリアの個性あふれる「個人店」も例外ではなく、緊急事態宣言が解除された後も、例年通りの客足には遠く及ばないところが多い。
テイクアウトや宅配に活路を見出す店舗も多いなか、「マッチポイント」や「ざくろ」、「清水橋バル」などの飲食店を経営する田村大輔さんはこのほど、「キッチンカー」を導入した。
キッチンカーは、車内で調理から食事の提供までできる車両で水回りや冷蔵庫、コンロ、調理台などが備えられている。固定費が比較的掛からないので「腕試し」で始める料理人や、既存店が機動力を生かしてイベントや祭り、オフィス街への出店などに活用されている。
宅配で気づき
イベント出店などを見越し、いつかはキッチンカーを導入したいと考えていた田村さん。
逆境下の決断に至ったのはコロナ禍をきっかけに始めた宅配のニーズが予想以上に高かったことだった。「在宅勤務や育児中の方だけでなく、小坪やハイランドなど駅から離れた場所の高齢の方たちが定期的に使ってくれた。通常営業を再開するタイミングで宅配はやめると伝えると、『これで最後ね。ありがとう』と声を掛けてくれるお客様もいた」と振り返る。
発想の転換
これまではいかに客を呼び込むかが大事だったが、コロナの影響で一変した。来店客のほとんどが2人組。多様なシーンで使われていたコースの予約はめっきり減った。「6月は昨年比7割まで踏ん張ったが、7月は海水浴客もいないので5割に届くかどうか」
これまで通り店内に呼べないのであれば、自分たちがお客様のもとへ行けばいい──。宅配を行って浮き彫りになった「買い物難民」や子育て世帯の潜在的なニーズ、そして在宅勤務の増加といった働き方の変化が発想の転換を後押しした。
専門業者に依頼し、制作した車両は「バンザイ フードトラック」と命名。来月から稼働する予定で、当面はビーチエフエム本社前の駐車場やマッチポイント逗子店裏で営業する。和洋中、エスニック、スイーツなど、ジャンルにとらわれないメニューを提供していくという。逗子葉山エリアで自治会館や集合住宅、個人宅の駐車場など、利用できる場所を募集中だ。「その場で出来立ての料理を提供します。地域の皆さんの生活に寄り添えたら」と話している。問い合わせは【電話】046・876・5190田村さんへ。
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