「おニャン子クラブ」の中心メンバーとして活躍した新田恵利さん(52)は、2014年から神奈川県内の自宅で母親(92)を介護している。突然始まった介護生活の経験から「事前に家族で話し合い、介護の制度や施設を調べておくことが大切」とアドバイスする。
母が突然寝たきり
--介護に至るまでの経緯を教えてください。
「父は私がおニャン子クラブにいた17歳の時に亡くなっています。結婚後も神奈川県内で母と同居していましたが、2014年に背骨を圧迫骨折して入院しました。1カ月後に退院しましたが、寝たきりの状態で『要介護4』と認定されました。母はそれまで毎日散歩していたので、寝たきりで車いす生活になるとは想像していませんでした。突然始まった介護のために兄が仕事を辞めて同居し、私と在宅介護をすることになりました」
--介護に直面して何を感じましたか。
「要介護4では受け入れてくれるデイサービスが少ないことを初めて知りました。介護保険の制度や周囲にどんな病院や施設があるのかも分かっていませんでした。いざとなると、介護する側の精神的、時間的な負担が大きいので、事前に大まかでもいいので、介護の制度や病院、かかりつけ医などを調べておくことが大切だと思います」
--当初の様子は。
「役所へ行き、地域包括支援センターの存在を知りました。そこで教えられてすぐに介護用ベッドを用意。車いすで通れるようにするために、母の部屋を片付けました。食事やトイレは私と兄が対応しています。おむつの付け方などを学ぶ民間の『おむつフィッター』の資格も取得しました。最初から訪問入浴や作業療法士の方のリハビリなどはサービスを利用しています」
ブログで気持ち整理
--ご自身はどんなお気持ちでしたか。
「最初は頭や気持ちの整理ができず、自問自答の日々でした。介護を始めたことをブログに書くと気持ちが整理できました。書くことで情報を教えてもらったり、共感してくれる方がいることも分かりました。愚痴をこぼすこともありますが、それでまた頑張れるし、前向きになれます」
--介護の現場や状況をどう見ていますか。
「自分が介護するまでは『大変』『暗い』という印象がありましたが、現場の方からは明るい話や笑い話を多く聞きます。大変なことは多いですが、その分、喜びもあると思っています」
--これから介護を考える方へアドバイスを。
「頭で考えて心配するよりも、まずは家族で話し合い、国の制度や企業が提供するサービス、保険などの知識を増やしてほしいです。芝居でセリフを覚えるのと同じで、介護も必要に迫られたらできるものですよ」
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