逗子市はアーデンヒル自治会、逗子菊池タクシー株式会社とデマンド型(事前予約制)乗合タクシーの実証運行を実施する。路線バスが通らない同地域では、高齢化に伴い交通手段の確保が課題に。関係者は「外出機会の確保に繋がり、高齢者の健康寿命延伸や地域経済活性化も期待される。10年後を見据えて取り組んでいきたい」と意気込んでいる。
「アーデンGO」と名付けられたこの実証事業は、10月15日(金)から来年3月末まで行われる。
利用対象は同地区の住民。住宅地内に4つの乗降場所が設けられ、JR東逗子駅までを結ぶ。運行日は年末年始を除く毎日で、午前10時から午後3時40分までの指定時間に運行する。チケット制で1回あたり大人300円、小学生150円。
タクシー業務は逗子菊池タクシー株式会社(菊池尚代表)が担う。主に定員5人のミニバン型車両を使い、事前に予約が入った便だけ走らせることで効率的に利用者を乗せる。また日中の稼働率が低い時間帯に運行することで経費を下げた。市環境都市課の担当者は「朝晩の時間帯に運行して欲しいという声もいただいたが、すでにタクシーを使っている方の負担軽減が目的ではなく、家にこもりがちな人の外出を促すのが1つの大きな狙い」とする。
10月3日と4日にはチケットの販売会が行われ、約10人が購入した。長年アーデンヒルの交通問題に取り組み、自治会長を務めたこともある菊地透さんは「後押ししてくれた市の姿勢は嬉しい。とにかくやってみてどのような結果が出るか。問題が出たらその場で対応し、約半年間の成果を検証して次につなげたい」と話す。
東逗子の活性化へ
市によると、約500世帯あるアーデンヒルの高齢化率は今年5月時点で37・01%。単純比較はできないものの、市全体では今年1月1日時点で31・48%と約6%高い。働き盛りの40代の割合はアーデンヒルが8・1%で、市全体の15・3%のほぼ半分となっている。
免許返納やマイカーを手放して交通手段が限られ、徒歩で買い物する高齢住民も増えているという。「行きは下りで楽だが、帰りは長い坂を上るのできついという声を聞く。今はなんとかそれで大丈夫でも、10年後はどうなっているか。地域の大きな課題です」と現自治会長の森谷仁さん。菊池代表は「外出機会の確保は介護予防や経済活性化につながる。地元での買い物や交流促進に繋がれば」とし、環境都市課の担当者は「市内で交通問題を抱えるエリアは他にもある。解決に向けたヒントを探れたら」と期待している。
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