難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した逗子市在住の畠中一郎さんが、すべての人の健康と豊かさを追求する財団を設立しようと準備に奔走している。今月末からはクラウドファンディングも実施予定。「ALSは考え方によっては老化が早く進む病気。であるならば、この病との付き合い方やサポート体制、技術開発の促進で、すべての人の豊かな人生に寄与したい」としている。
畠中さんは現在、64歳。大学卒業後、JETRO(日本貿易振興機構)に勤め、海外に駐在。退職後、ハーバードビジネススクールに自費留学し、MBA(経営学修士)を取得。帰国後に野村総研やアクセンチュアなどでコンサルタントとして新規事業・市場開拓やM&A、事業再生に従事。2006年からは独立し、経営コンサルタントとして国内外の企業経営に携わっている。
突然の異変
第一線の経営コンサルタントとして多忙な日々を送るなか、左足のふくらはぎに異変を感じたのは昨春。その後、家族の勧めで病院へ行ったところ、ALSと診断された。
「一瞬、わけがわからなくなるほど戸惑った」と当時の心境を振り返る畠中さん。ALSは全身の筋肉が徐々に動かせなくなり、最終的に死に至る病。発症のメカニズムが解明されておらず、治療法も確立していないため、現在は麻痺の進行を遅らせる対処療法しかない。「余命は3〜4年と覚悟してください」と医師に告げられたという。
病通じ世に貢献
診断後、2週間のサイクルで点滴を受けながら、海外出張を含めこれまで通りの生活を送っている。そうしたなかで、「同じ境遇にいる人たちを救い、自分も救われることをしたい」と強く思うようになったという。
その土台として財団の設立を決意。名前を「すこやかさゆたかさの未来研究所」とし、「寄り添う」「支える」「乗り越える」を3つの柱に据えた。「治らない病気」であるがために、孤立しがちな本人や家族に情報提供し声を発信してもらうほか、ITやロボット技術等を活用した患者を支える先端技術を開発をする国内外の企業を支援。国境を越えて活動するのも、海外生活が長い畠中さんならではだ。「残された時間を有意義に、幸せに生きるため、私の経験やスキル、アングルから貢献したい」と話す。
運営資金は寄付やクラウドファンディングのほか、コーポレートサポーターを募る。すでに複数の製薬会社と協議が進んでおり、患者と製薬会社、そして社会にとってメリットが生まれる関係性構築を目指す。
設立後、畠中さんは仕事を退職し、財団運営に専念するという。
支援の輪広がる
畠中さんは2003年、逗子に居を構えた。「海と山があり、個性的な商店街もあって、とても気に入った」という。
2004年には逗子市政50周年の記念行事として行われた演劇のワークショップに娘と参加した。逗子文化プラザホールのこけら落とし公演で、主演を務めた経験がある。「初めての経験だったが、娘との思い出を作ろうと、挑戦してみた」。その活躍を見た逗子市民劇団なんじゃもんじゃのメンバーから誘いを受け、現在も団員を務めている。
こうした地元の仲間や、友人知人たちが畠中さんの思いに賛同。財団設立に向けて、応援している。「たくさんの方がボランティアとして協力してくれ、本当にありがたい限り」とほほを緩ませる。
財団の取り組みや思いを広く伝え、活動への関心を高めて支援を集めようと、クラウドファンディングを6月28日(火)から7月31日(日)まで行う。寄せられた支援金は、財団のウェブサイト構築やシンポジウムの開催、介護機器リース事業などに活用するという。
詳細や最新情報は「レディーフォー 畠中一郎」で検索。
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