「家族がいかに大切か、自分がいかに幸せか、ふつうの自然がどんなに大事か」―。藤沢市用田の株式会社ニッセイエコ(浅野高志社長・従業員65人)は、東日本大震災の被災地で、会社をあげてボランティア活動に取り組んだ。4月末から6月末までで延べ121人が参加。ボランティアを通して社内のコミュニケーションや絆を深めている。
同社は、1975年に設立。プラスチックを原料とした絶縁部品等を製造・販売しており、中国やタイ、ベトナムなど海外にも工場をもっている。スローガンの「大家族主義」のとおり、中国で社員の子どもが心臓病を患った際には、全社員で100万円を超す基金を集めたり、スマトラ島沖地震など大災害があるたびに、義援金を集めた。
その意識が強まったのは四川大地震の時。工場があるのは上海、恵州、天津だが、四川に実家がある社員もおり、全社で約300万円を集めた。
そして発生した東日本大震災。「今回は義援金だけでなく何かしなくては」という声が社内で相次ぎ、最終的には稲村道雄会長が「よしやってみよう」と会社をあげてボランティアをすることを決断した。
本業の産業が混乱していたこともあり、先陣きって第1陣が状況調査に宮城県多賀城市を訪れたのが4月末。5月13日から15日にかけては、社員約50人で同県東松島市へ。14日に現地入りし、ボランティアセンターと事前に打ち合わせをしていたが、実際は現地で1軒1軒家を訪れ「何かお手伝いすることはありませんか」と自分たちで探しながら、泥かきやヘドロの除去、室内清掃などを行った。
その後も5月末から6月末まで、毎週金曜日の夜に会社を出発し、土曜日に多賀城市でボランティアをする活動を計7回行った。被災地への交通費、全員で泊まった宿泊費や土産代は会社持ち。
稲村竹治専務は、「現地では皆自然と体が動いて一生懸命になっていた。上も下もなく、社員が一致団結し、ふだんの現場ではみられないような光景だった」と振り返る。ボランティア後から、「お互いのコミュニケーションが明らかに変わった」のがみてとれるという。
くしくも毎年社長が決める、今年のスローガンは「絆」。「家庭でも会社でも、人と人の絆の大切さを皆が感じたのではないか」と稲村専務。秋以降にまた再開する予定という。
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