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かこさとしさん死去 92歳 児童文学の大家

社会

掲載号:2018年5月11日号

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本紙の取材に応えるかこさん(=2016年10月、藤沢市内の自宅で)
本紙の取材に応えるかこさん(=2016年10月、藤沢市内の自宅で)

 「からすのパンやさん」や「だるまちゃん」シリーズなどで知られる絵本作家のかこさとし(本名・中島哲)さんが2日、慢性腎不全のため藤沢市内の自宅で死去した。92歳だった。今年1月には新作3作を同時出版するなど、持病の治療を続けながら、晩年まで創作活動を続けた。

戦後の贖罪 絵本に込め

 1959年にダム工事の様子を森の動物たちの視点で描いた「ダムのおじさんたち」でデビュー。以来、世代を超えて親しまれる600以上の作品を世に送り出してきた。

 昨年10月には児童文芸の最高峰とされる巌谷小波文芸賞を受賞。本紙の取材に「小学生のとき夢中になった小波先生の賞をいただけて感無量」と喜びを語っていた。関係者によると、他界の前日までファンレターの読み上げを聞き、仕事のことを口にしていたという。

 東京大学工学部卒の異色の経歴。19歳のとき、疎開先の三重県で終戦を迎えた。戦時中は軍国主義の下、軍人を志したが、視力が悪く断念。友は死地へ赴き、自らは生き残ってしまったとの自責の念を抱え続けた。

 創作の原点は、当時戦争が誤りだったと気付くことができなかった自らの悔恨にある。だから、次代を担う子どもたちへの思いを作品に託した。「今の子どもたちに間違いを犯さず、健やかに育ってほしい。だから絵本を描いた。それが、あの日生き残ってしまった僕の贖罪(しょくざい)だから」。09年、神奈川文化賞を受賞した際の言葉だ。

 戦後73年間、信念を貫き通した人生だった。

 福井県出身。葬儀は親族のみで行った。後日、出版社主催でしのぶ会を開くという。

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