戻る

藤沢 トップニュース社会

公開日:2019.08.09

旧三觜家住宅
国登録文化財、解体へ
宅地開発で3年後にも

  • 旧三觜八郎右衛門家住宅主屋(藤沢市提供)

 藤沢市羽鳥にある国の登録有形文化財「旧三觜八郎右衛門家住宅」(主屋・門・石塀)が3年後をめどに解体される見通しであることが分かった。建物の保存を望む声があがっていたが、後継者不在などが理由ですでに不動産業者に渡っており、跡地は宅地分譲されるという。



 同住宅は2013年に国登録有形文化財に登録。三觜家は室町時代までさかのぼる旧家で、江戸時代には旧羽鳥村の名主を務めた。明治期には13代目が漢学者の小笠原東陽を招へいし、私塾「耕余塾」を開設。元首相の吉田茂や味の素創業者の鈴木三郎助などを輩出したことでも知られる。



 1878(明治11)年頃に建てられた主屋(143・3平方メートル)は木造2階建。平屋がほとんどだった当時としては珍しく、良質な木材をふんだんに使った内装や細部にこだわった装飾など、かつての意匠を今に伝えている。



 建物は長年三觜家ゆかりの個人が所有。今年3月までは週2日、一般公開もされていた。



 敷地面積は2448平方メートル。関係者によると3期に分けて宅地開発する予定で、第1期では門を主屋側に移設した上で、残りの土地を分譲する。主屋など建物は3期目が始まる2022年頃に解体される見込みという。



 登録有形文化財は指定文化財とは異なり、改修や改築について厳しい規制を設けていない。開発についても法的な制限はなく、明治地区では貴重な文化財の保存を求める声が高まっていた。明治郷土史料室運営委員会副委員長の磯崎三郎さんは「非常に残念。耕余塾は藤沢の教育文化発祥の地であり、旧三觜家はそれを今に伝えるシンボル。市への働きかけなど、保存継承の道を模索したい」と話した。

 

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

藤沢 トップニュースの新着記事

藤沢 トップニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS