ピンクリボン活動などを展開する「NPO法人あいおぷらす」の理事長を務める 呉(くれ) 吉男さん 鵠沼松が岡在勤
がんの知識、正しく発信
○…年間9万人がり患し、死亡者数ともに増え続ける乳がん。一方、検診率は8割を超える欧米に対し日本は4割にも満たない。その差は何か。「知識だよ」。ひと呼吸置いて答えた。検診では多くが早期発見できる一方、患者自身の触診ではすでに進行していることが少なくない。検診の意義を患者が正しく理解すればもっと主体的に受診するはず―。そんな思いで今春、啓発活動の母体となる組織を設立した。
○…鵠沼海岸にある「呉クリニック」院長で専門は内分泌外科。開業時からいち早くマンモグラフィーを導入し、市医師会ではがん検診委員会を立ち上げるなど、乳がん検診率の向上に長年尽力してきた。新機軸として打ち出すのが、正しい情報発信。インターネットの普及で情報の取得が便利になった反面、がんに関しては誤ったものも多い。いわばリテラシーを市民に身に着けてもらうことが狙いの一つだ。今月末には「がん情報の見極め方」と題したオンライン講座も控える。
○…白衣は着用せず、診察室には写真や絵画が飾られ、さながらギャラリーのよう。「風邪に医者は必要ない」と言い切り、誘いがあれば患者と飲みにいったりゴルフに出かけたり。異色なスタンスは医師と患者は対等との考えから。「医者はもっと偉いものだと思ったけど、なってみたら案外普通だった。それだけの話だよ」とさらり。
○…もう一つの柱が患者や家族のケア。がんと診断された後の精神的負担を軽減するため、相談や支援を受けられる場を今後設けていく予定だ。「乳がんになっても暮らしやすい地域社会は医療だけでは実現できない。多様な人の支えがあってこそ」。そんな思いが法人名にもにじむ。「あいおぷらす(愛をプラス)」と。
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