活発な梅雨前線の影響で県西部を中心に記録的な大雨に見舞われた3日、藤沢市内でも崖崩れや家屋浸水など一部地域で被害が発生した。市によると、現状の報告では大雨によるけが人や住宅損壊はなかった。一方、避難情報の制度が見直されてから市全域に初めて「避難指示」が発令されたが、避難者数は低調で災害避難のあり方や課題も浮き彫りになった。
4日午後1時までの総雨量(辻堂)は333・5ミリ。横浜地方気象台によると、24時間の降水量(同)は189ミリで7月としては観測史上最大を記録した。
市がまとめた4日現在の災害状況(暫定)によると、道路冠水36件、家屋浸水(床上・床下など)8件、土砂流出3件、崖崩れ2件、車両水没1件、倒木1件などが発生。河川水位では石川橋(引地川)で一時、氾濫危険水位超過(レベル4)の3・95mに達した。村岡地区では970軒で停電が発生した。
市は県などが発表した「土砂災害警戒情報」を受け、3日午前5時30分、片瀬・村岡の両地区を対象に5段階ある警戒レベルのうち、2番目に危険度が高い「避難指示」を発令。同8時30分には市全域に拡大した。
市などは公民館や市民センター、小中学校など計74カ所に指定緊急避難場所を開設。3日夜に避難指示が解除されるまでに延べ138人が避難した。
いざに備え準備を
「何人避難すれば良いという目安があるわけではないが、感覚としては少ない。(新制度に関する)啓発の必要性を痛感している」。避難者数の受け止めについて市の防災担当者はこう話す。
避難情報を巡っては、5月に改正災害対策基本法が施行され、従来の「避難勧告・避難指示」を「避難指示」に一本化。分かりづらい併記をシンプルにし、住民の避難行動につなげる狙いだった。
一方、今回市が発令した避難指示の対象地域は市内洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域で、対象は約5万3千世帯、約11万8千人にのぼる。だが、実際に避難した人の割合はわずか0・1%の138人にとどまった。
「避難指示は合理的な理由に基づいた(市町村の)危険との判断。深刻な被害に発展しなかったのは幸いだが、避難指示の重大さを伝えきれていない行政の課題と捉えている」と同担当。
市は防災や災害に関する情報をまとめた小冊子「ふじさわ防災ナビ」をこのほど全面改訂。15日までに全戸配布するといい、「災害時には個々の判断が安否を分ける。いざというときにどのように避難するのか、冊子を活用しながら家族で話し合ってほしい」と呼び掛けている。
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