藤沢 経済
公開日:2025.05.23
「トンボロ」管理用階段が完成
江の島で安全祈願
干潮時に江の島と片瀬海岸が地続きになる自然現象「トンボロ」の発生シーズンが始まった。島に上陸するための管理用階段も設置され、14日には関係者がトンボロを往来する観光客らの安全を祈願した。
トンボロはイタリア語で、日本語では「陸繫砂(りくけいさ)州(す)」という。波が島を回り込みながら進むと同時に、運ばれた砂が島と海岸の間に集まって現れる。江の島では潮位が20cm以下になる年間60日ほど、干潮時に約1時間の「海の道」ができる。鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』や江戸時代に描かれた浮世絵などに、その様子が残されている。
国内でも珍しい現象を新たな観光資源にしようと、市観光協会は2023年度からPRを強化した。片瀬海岸から歩き始めると、島に上陸する際に子どもや高齢者などはフェンスを乗り越えることが難しいため、4〜8月にかけて仮設階段を設置。24年度には5日で約1万7千人が利用したが、幅約60cmと狭く一方通行しかできなかった。
そこで市観光協会は利便性向上や集客増を視野に、県に常設階段の設置工事を依頼。港湾管理の設備として許可が下り、幅2m以上、中央部に手すりのある階段が設けられることになった。江島神社による神事が執り行われた後、市観光協会の湯浅裕一会長は「波打ち際で楽しそうに貝殻を拾う子どもたちも見られる。多くの歴史とともにトンボロを後世につなげたい」とあいさつした。
トンボロが現れる可能性のある日程、管理用階段の利用可能日は藤沢市観光公式HP(https://www.fujisawa-kanko.jp/)で公表している。
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