藤沢市議会6月定例会に提出された陳情22件のうち10件が、同じ陳情名「公共施設予約システムの柔軟な運用を求める陳情」という異例の事態が起きている。新システムが導入されたばかりだが、市民の混乱がうかがえる。きょう開かれる市議会総務常任委員会で審査される。
市は今年1月から公民館や体育館、会議室など公共施設の予約システムをリニューアルした。従来の予約システムの運用から約10年経過したことから、利用者の利便性向上などが目的。これまで市民が公共施設を利用する際には各施設に足を運び、紙の申請書に必要事項を記入して申し込んでいたが、オンライン予約が可能となった。一度登録すれば氏名や住所といった情報を何度も入力する手間が省けるほか、現金払いだった利用料金もクレジットカードや電子マネーなどでのキャッシュレス決済に変更。一連の手続きを全てオンライン上で完結できる全国の自治体で初の取り組みとして注目を浴びた。
問い合わせ1100件
しかし、新システム導入直後から問い合わせは相次いだ。市デジタル戦略課によると、その多くは「操作方法が分からない」「予約ができない」「紙での申請に戻してほしい」という内容で、1月から5月にかけて約1100件の声が寄せられ、今も職員が都度対応しているという。
また利用できる施設数は79施設、394カ所あるが、例えば秋葉台文化体育館を全て利用する場合にはコートの一部分や会議室、和室など1カ所ずつ予約しなければならない。
こうした手間もあってか、旧システムに登録していた団体は約8850件、個人約7千件だったのに対し、新システムに移行した現在の団体は約6200件、個人約5千件と減った。
「市民サービスの低下」
新システムに不満のある一人が、福永雪子さん(75・大鋸在住)。長年市民の家で幼児保育を行い、運営委員も務めてきたが、本人を含む多くの利用者がシステム変更については寝耳に水だったという。「私はパソコンもスマホも持っていない。マイナンバーカードなど個人情報が必要な登録の任を別のメンバーに負わせるのも抵抗がある。デジタル化を進めようとすれば、そこからもれる人は必ずいる。これは市民サービスの低下」と怒りを露わにする。
福永さんは今、市民の家より利用料金の高い県の施設で活動している。
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