藤沢 経済
公開日:2025.07.11
経産省 支援事業に採択
「がんが怖くない時代へ」
元藤沢市議のベンチャー
元藤沢市議会議員の宮戸みつるさんがCEO(最高経営責任者)を務め、バイオ研究の分野で実績を上げているベンチャー企業、ISM(株)(本部・藤沢)が、経産省の成長型中小企業等研究開発支援事業に採択され、国の政策に位置づけられることとなった。宮戸さんは「がんが怖くない時代をつくりたい」と意気込む。
採択されたのは、同社他、国立がん研究センター、慶應義塾大学などと研究を重ねてきたがんの早期発見から治療までを一貫で行う創薬事業。世界初の技術が用いられており、今後、国立岐阜大学も参加する。
内容はこうだ。従来の検査ではがんが大きくならないと確定的な発見が難しかったが、同社の技術では、微小ながんでも存在を確定でき、早期発見につながる。治療では、がん細胞のみを攻撃し、周辺の細胞への影響がないため、副作用がでない。加えてがん細胞が発する転移の原因物質も破壊する。国立がん研究センターで行われた実験では原発がん、転移がんともに「顕著な抑制がみられた」という。
宮戸さんは「革新的ながん検査薬と、副作用のないがん治療薬になる」と自信をのぞかせる。実用化は「今後数年」とし、公的保険の適用を視野に入れている。
また、国内にとどまらず、世界展開の足場固めも同時進行。すでに国際特許庁に出願をすませ高評価を獲得した。
亡き妻の供養に
開発のきっかけはコロナ禍にあったおよそ4年前にさかのぼる。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、細胞間の情報伝達物質などを通して、重症化、軽症化の判断基準を特定。その技術を活用して、今回のがん検査、治療薬の開発につなげたという。
個人的な思い入れもある。「かつて妻をがんで失った。この技術を世界に広めることが供養にもなる」と力を込めた。
開発は大阪市の研究本部で進めていく。
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