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藤沢 社会

公開日:2025.11.07

11月8日は「いい歯の日」
歯と口の健康維持は全身を守る
藤沢市歯科医師会 地域健康部理事 若杉治さん

  • インタビューにこたえる若杉理事

 健康な毎日を送るために欠かせない歯と口の健康。11月8日の「いい歯の日」にあわせ、藤沢市歯科医師会 地域保健部理事の若杉治さんに、近年の歯科医療の現場と市民が心がけるべき予防のポイントについて話を聞いた。

オーラルフレイルに注意

 「歯と口の健康に関して、今、地域保健の現場で最も注視しているのは『オーラルフレイル』です」と若杉理事。

 オーラルフレイルとは、健康な状態と、口の機能が低下した病的な状態の間にあたる段階を指す。病気になる一歩手前のサインであり、この段階であれば、治療や予防で回復が可能な状態だという。

 若杉理事は、「オーラルフレイルのサインは、口の中の衰えだけでなく、全身の衰えの兆候でもあるのです。体の衰えが、口の周りという変化に気づきやすい場所に出るのが特徴です」と警鐘を鳴らす。

 具体的には、単に歯を失うだけでなく、「硬いものが噛みにくくなった」、「お茶や汁物でむせることが増えた」、さらには「会話で言葉をはっきりと発音できないことがある」といった症状が挙げられる。これは、歯だけでなく、喉や舌の筋肉、さらには神経の伝達機能に問題が出始めていることを示しているのだという。「この小さな不調を見逃さずに歯科医院に来ていただくことで、単に口腔内の問題を治すだけでなく、全身の重大な疾患の早期発見や予防にもつながる可能性が生まれます」。

予防の基本は丁寧なケア

 また、歯と口の健康を守るための予防策として「普段からの適切なブラッシング」と「定期的なプロのケア」の重要性も強調する。

 最近、歯科医院での定期的なクリーニングは、超音波の振動で歯石を除去するなど、昔に比べ患者の負担が少なく、より効果的に行える方法が増えたという。

 しかし、それ以上に重要なのが日々のセルフケア。特に注意すべきは、虫歯菌や歯周病菌が溜まりやすい奥歯の溝、歯と歯の間、そして歯と歯茎の境目の3か所だ。「歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用してのケアが望ましいですね」。

 また、多くの人が見落としがちなセルフケアの重要なポイントとして「年齢が上がり、歯茎が下がってくると、歯と歯茎の境目や歯の間に隙間が生まれます。若かった頃と同じ時間で歯磨きを終えても、汚れは絶対に落ちきりません。年齢が上がるほど、歯磨きにかける時間は増えるはずなのです」と若杉理事。「もちろん何分という正解はありませんが、汚れが取れるまで丁寧に磨くという意識が必要です」とも。

「小さなこと」でもプロに相談を

 若杉理事は、「今は誰もが手軽に情報を得られる時代ですが、自分で調べた情報で不安になったり、あるいは逆に自己判断で放置してしまうのは非常に危険」と不安をそのままにせずに、専門家を頼ることの重要性を訴える。

 「気になることがあったら、どんな簡単なことでもいいから、恥ずかしがらずに歯科医院に来てほしい」と話す。「この程度のことで来ては申し訳ないという患者さんもいるけれど、私たちは、地域に根ざした歯医者として小さな不安にも寄り添います。プロの目で確認し、モヤモヤした気持ちがスッキリするだけでも、お互いに価値があると考えています」と、市民へ温かいメッセージを送った。

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