3月10日の鎌倉ペンクラブ主催「かるた大会」に展示される屏風を寄贈した 鈴木 孝子さん 手広在住 82歳
書と向き合い 今日も現役
○…「鎌倉ペンクラブ」が内容を公募し制作した「鎌倉かるた」。その第10回大会が3月10日(土)、建長寺で開催される。「鎌倉の歴史を学ぶのにとても良い。なにより子どもの作品が多く、魅かれた」と、かるたの内容に感銘を受け、以前にその読み札を書道作品にしたためたことがあった。それがきっかけとなり、10回大会の記念として作品を書き改め、二曲一双の屏風にしたものを同クラブに寄贈、会場に展示することに。広げると一隻高さ130cm、幅140cmの力作だ。「これを最後の仕事にしようかなと思って」と笑う。
○…東京育ち。書を始めたのは小学2年のころ。「親から離れて姉と電車で通うのが嬉しくてねえ」と懐かしむ。学生時代は戦時中で、書道どころではなかった。母校の女学校の事務に就き、生徒の書道作品の添削を手伝ううちに、再び書に目覚めた。
○…20代前半に鎌倉に嫁ぎ、師匠から一文字もらい書家名を「香羊」に。その後市内で書道教室「香羊書院」を開き、50年あまりを数える。一時は200人を超す生徒がいたことも。教室を開いた後もしばらく東京へ通い「かな文字」の勉強に取り組んだ。ライフワークとして、所属する(社)日本総合書芸院の展覧会への出展もずっと継続しており、文部大臣賞受賞の経歴も持つ。「褒めて教える」教室には今も約30人の生徒が通っており、モットーは「基礎を大事に」。
○…82歳になった今も、生徒の手本を書き、自身の作品を作り、店を手伝う多忙な日々を送っている。「普段は写真屋の女将。そっちの方が知られているんじゃないですかね」と元気に笑い「人とのつながりのおかげで教室も途切れることなく続けることができた」と振り返る。8月に展覧会を控え、「生徒のお手本を書かなきゃ」としつつも「出来れば自分の作品も出したい」と語った。書家として、写真屋の女将として、これからも現役であり続ける。