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鎌倉 コラム

公開日:2026.05.22

鎌倉のとっておき 第195回 かまくら花めぐり(蓮)

  • 本覚寺の蓮

    本覚寺の蓮

 盛夏を彩る蓮の花。泥の中から美しい花を咲かせるその姿から、仏教では、苦難の中でも清く生きる強さや高い精神性の象徴とされ、古の歌人たちも多くの歌を残している。

 僧正遍昭は『古今和歌集』に「蓮(はちす)葉(ば)のにごりに染まぬ心もて なにかは露を玉とあざむく」と、蓮の葉は泥水の濁りに染まらない清い心を持つのに、なぜ葉の露を玉に見せかけ人の目を欺くのだろうかとの思いを歌に残している。

 また鎌倉初期の公卿・藤原(九条)良経は「夏ふかみ入江のはちすさきにけり 浪にうたひてすぐる舟人」と、夏が深まりゆく入江に咲く美しい蓮の花に、舟を漕ぐ人も歌を口ずさみながら過ぎていくとの情景を詠んでいる。

 こうした蓮の花、鎌倉では鶴岡八幡宮の源平池はじめ、本覚寺や覚園寺など多くの寺社で観られるが、中には独特の由緒をもつ蓮もある。

 まず光明寺の記主庭園で薄紅色に咲く「古代蓮」。これは植物学者の大賀一郎博士が、千葉県の落合遺跡から出土した二千年以上前の種子を発芽させたもので、「大賀蓮」ともよばれている。

 また永福寺跡の池の畔で薄紅色に咲く「中尊寺蓮」。これは岩手県の中尊寺金色堂に安置された、藤原泰衡の首桶に納められていた種子を発芽させたもので、鎌倉市制80周年記念事業の一環として、平泉町から寄贈されたものである。

 青く澄んだ夏空の下、蝉しぐれに包まれる古都鎌倉。古の歴史も蘇る蓮の咲くまちである。

石塚 裕之

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