鎌倉市が来年4月のオープンを目指している(仮称)おなり子どもの家の耐震改修工事が、6月中旬以降ストップしたままとなっている。同施設は図書館などとして使われてきた築80年以上の建物を活用するもので、工事の過程で土台等に想定以上の腐朽が判明した。市は改めて方針を決定するとしているが、工事期間の延長や費用の増加は避けられない状況だ。
御成小学校に隣接する敷地に建つ「旧町立図書館」は1936年、篤志家・間島弟彦の資金提供により建設された。
74年に現在の中央図書館が完成した後は、教育センターの事務局などとして利用されてきたが、耐震性能不足が判明したことなどから、市は2014年に解体を決定した。
しかし「歴史的、文化的に価値が高い建造物」として保存を求める活動が起こったことを受け、市は15年に建物の保存を決定。「土台等の一部は交換が必要だが改修を施した上で利用が可能」とする診断をもとに、学童保育施設「子どもの家」としての活用を決め、今年3月に耐震改修とプレイルーム増設のための工事が始まった。費用は約2億5千万円。
しかし外壁や内装材の撤去が進むと、土台に使われている木材の外側など、事前の診断で確認ができなかった構造部材に、想定以上の腐朽が広がっていることが分かった。
そのため市は、6月12日に工事の一時中止を事業者に通知。7月6日にはさらに9月30日まで期間を延長することを発表した。
工事は来年3月までを予定していたため、当初の計画通り来年4月に子どもの家を開設することは、難しくなった。
市公的不動産活用課によれば、このまま耐震工事を進めるには建物全体を持ち上げた上で腐朽の進んだ土台を交換するなど、難易度の高い追加工事が必要となる。また解体し建て直す場合は「新築」となるため設計のやり直しが必要となるほか、「保存・活用の上、改修後には景観重要建築物への指定を目指す」としていた従来の方針を覆すことにもなる。いずれにしても工事期間の延長や費用の増加は避けられない状況だ。
同課では「9月議会には市としての新たな方針を提案できるよう、事業者とも協議を進めたい」と話している。
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