絵本『谷戸であそぼう 夏』を出版し、市内で原画展を開催している絵本画家 とみた しょうこさん 市内在住 50歳
自然と生命の美、描き出す
○…鬱蒼と茂った谷戸の緑、どろんこになって野山で遊ぶ子どもたちの笑顔―。このほど出版された絵本『谷戸であそぼう 夏』で絵を手がけ、鎌倉の自然の美しさや生命の躍動を不透明水彩で描き上げた。7月30日まで、御成町のギャラリーで原画展を開催中。「出版後、市内では初めてとなる展示会なので、多くの人に楽しんでほしい」と笑顔を見せる。
○…3年前の『谷戸であそぼう 春』に続いて自身2冊目となる今回の作品。前作に続いて市内で青空保育を行う「なかよし会」(1985年創設)の子どもたちをモデルに、同会創設者の相川明子さんの文章からイメージを膨らませた。「親子で楽しめる絵本を創りたい」と構図の工夫だけでなく「裸足で地面を踏みしめる幼児の足の指の力強さ」まで描こうと試行錯誤。3年掛かりで完成にこぎ着けた。
○…中学2年生の一人娘もなかよし会の「卒業生」。当時1歳の娘とともに同会を見学し「子どもに『生きる力』を身に付けさせてくれるに違いないと直感し『ここに入れたい』と思った」と振り返る。朝、親から離れるのが嫌で大泣きしていた我が子も3年間でたくましく成長。「娘も自然が大好き。青空保育に出合えて本当に良かった」と話す。
○…福島県出身。美術大学を卒業後、高校の美術教師として絵画や立体造形などを指導する。豊かな自然に惹かれ、鎌倉に転居したのは14年前。現在は鎌倉中央公園の景観や自然を守るため活動する「山崎・谷戸の会」に所属する。水彩画の作品が2011年、絵本画家の登竜門「ボローニャ国際絵本原画展」に入選するなど、その実力は高く評価されている。「今後は冒険物語などのジャンルも描いてみたい」と意気込んだ。