かながわ音楽コンクールのピアノ部門・ユースピアノ部門で2冠を達成した 山縣 美季さん 植木在住 17歳
「大人の表現力」で掴んだ頂点
○…今月行われた、かながわ音楽コンクールのピアノ部門で高校生として初の頂点に立った。先月のユース部門でもトップの県知事賞を受賞し、同大会初の2冠を達成。「本選に残れただけでも嬉しかったので驚きました」と振り返る。同大会には10年前から出場してきた常連だけあって、自身も周囲も「ついに」という思いがあるという。
○…今回演奏した曲の中で、特に思い入れが強いのがフランクの前奏曲『コラールとフーガ』だ。コンクールでは、高難度の曲を演奏し、技術をアピールする参加者も多いなか、あえて高い表現力が必要な「大人な曲」で、大学生など「格上」も多い部門に挑んだ。「自分が本当に弾きたかった曲で良い評価をいただけて嬉しい」とはにかむ。
○…いわゆる音楽一家ではなかったが、5歳の時、幼稚園の教室で演奏の楽しさを知った。7歳で今も通う教室へ移るとメキメキと上達し、コンクールにも挑戦するようになった。現在は東京藝術大学音楽学部附属音楽高校の3年生。「あの指揮者がね、なんて専門的なことを友達と気軽に話せるのは楽しいし、大学の先生にも毎週見てもらえる」と充実した様子。「家族は『音楽だけじゃなくてもいいよ。やりたいようにしなさい』と私の意思を尊重してくれる。良い環境で幸せだなぁって思います」
○…今回を含め、これまでの賞金は海外に留学したいという目標のために貯金している。10月には、上位入賞者と神奈川フィルハーモニー管弦楽団によるトップコンサートを控える。「同じ門下の先輩も出演していたこともあって、小さい頃からの憧れだった。やっと夢が叶った」。演奏したいのはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。晴れの舞台のため、今日も鍵盤に向かう。