創立70周年を迎えた鎌倉稲門会の会長 兵藤 芳朗さん 高野在住 72歳
大学の経験から地元活動
○…「先輩たちがしっかり築いてくれたおかげで活動も活発。他の稲門会からうらやましがられる。これからも引き継ぎたい」と話す。会員約300人。会員拡大にも力を入れるが、「現会員が楽しく活動できる環境を守りたい」。
○…鎌倉で、祖父の代まで醤油醸造を営むなど老舗の酒屋の次男として生まれた。「当時の鎌倉は田畑が残り、ザリガニ釣りをして駆けずりまわったよ」と懐かしむ。ご用聞きで地域を回り、「地域のネットワークが自然とできていた。『こんにちは』『ありがとうございます』のあいさつがどんなに大切か身をもって知った」という。
○…大学は早稲田大学へ。1、2年の時、ハンセン病施設でボランティアを体験。看護師が献身的に働き、いつもニコニコしていたことが思い出される。海外にも目を向け、インドやネパールに行き、現地の人と交流し、日本とは違う文化を体験。その後、アメリカを放浪。色んな大学を巡り見分を広めた。「多くの国の学生とも会い、もっと勉強していればな」と振り返る。
○…大学卒業後、鎌倉市役所へ。大学時代に色々なことを経験し「地元で就職し、地元のために働きたい」と思った。企画畑が長く、市長5代にわたり市政をデザインする総合計画に携わってきた。「市の将来を決める大切な事業だが、基本は酒屋のご用聞き。市民とのネットワークを拡げ、互いに理解し合うこと」。2009年には副市長となり、2年間、市長を支えた。退職後は福祉法人の立ち上げや理事など現場での活動を続ける。今年6月には鎌倉社会福祉協議会の理事長にも就任。忙しい毎日だが、錦鯉の世話でリセットする。「父の代からの趣味でね。色の鮮やかさが好き」とニッコリ。