4月から鎌倉芸術館の館長を務める 永井 健一さん 横浜市在住 60歳
ずっと音楽とともに
○…「玄関へと続く道が『段葛』、その両サイドの棟が『山』、そしてエントランスの奥には『竹林』。まるで鎌倉の街並みのようだ」。今年度から鎌倉芸術館の館長を務める。同館の指定管理者が、16年ぶりに(公財)鎌倉市芸術文化振興財団に戻り、4月1日の引継日に向けて約3カ月準備を進めてきた。「館長就任初日にして一番の大仕事だった」と話すのが、毎月1日に行う施設利用のWEB抽選。ホームページの運用が替わり、不具合でネットが使えないことも想定して割り箸を用意。原始的な抽選方法も念頭に置いた。実際には割り箸の出番はなく、無事に再出発を切った。
○…母親の影響で幼少期からクラシックをよく聴いた。特に、「苦難を乗り越えて歓喜となる」ベートーベンの曲調に魅了され、作曲家への道を志す。高校では鎌倉学園に入学し、音楽大学を目指して勉学に励んだ。
○…しかし大学進学の進路相談により、上智大学の一般学部への入学を決意。音楽とは一時かけ離れていたが、入学して混声合唱団に出会う。声楽やオペラの世界にのめり込み、イタリア・ミラノにも3年間留学。納得いくまでスキルを磨き続けた。その後、(公財)神奈川芸術文化財団の職員となり、コンサートのプロデューサーなどを経験。定年を機に鎌倉市の財団に移り、ずっと音楽と関わってきた。
○…同館は来年で創立30年を迎える。「館内がきれいで、大切に使われてきたのだと感じている」。今後は施設運営に留まらず、「芸術の良さや魅力を伝えるために、学校などに出向くアウトリーチやワークショップを計画したい」と話す。芸術館としての機能を保ちつつ、文化や歴史が身近にある鎌倉らしい事業展開を目指していく。