「鎌倉さかなの協同販売所」の開業へ準備する 狩野 真実さん 材木座在住 41歳
柔軟かつ大胆に
○…今泉台にある北鎌倉台商店街で、市内郊外の買い物難民に向けた移動販売の拠点である「鎌倉さかなの協同販売所」の開業を目指す。鹿児島県阿久根市と連携し、ヤガラやオジサンなど鎌倉では珍しい鮮魚も取り扱う。7月初旬のテスト販売では、50人以上の行列ができ、ニーズを感じている。「多世代で多志向な考えが必要」と、地元の漁師やデザイナー、企業などとも連携。7月末まで実施したクラウドファンディングでは760万円の資金が集まり、11月の開業に向けて準備を進めている。
○…ファッションビジネスの傍ら、東京の水産ベンチャーにも勤める。「水産業界全体の把握にもつながる」と、その経験を今回の魚屋運営に生かす。鎌倉には、編集者である夫の「暮らし方と働き方の視野を広げる考え」に共感し、7年前に移住。「やりたいことをやっている人が多い。緩やかにつながり、居心地が良い」と懐の深さを感じている。個性を尊重し合う鎌倉の雰囲気が開業を後押しする。
○…「ポジティブでガンガン進んでいくタイプ」と、以前には東京の女性と五島列島の漁師をつなぐ「島コン」を企画。今回のクラウドファンディング終了2日前には、朝6時に動画配信を強行し、最近はより勢いづく。昔は気の合う人とだけ接していたが、年齢を重ねるごとにオープンでフラットになり、「今は違えば違うほど良さを感じる」。
○…今後の目標は「持続的な店舗経営」。物価の高騰や漁師不足、不漁など続けるうえでのリスクは多い。それでも、「簡単にいかないことが前提にある。だからこそ、失敗しても誰かを責めることはない。柔軟な考えを大切に、関わるみんなと楽しむ」。魚屋のの船出はもうすぐだ。