スパイス料理のオンライン書籍を出版した メタ・バラッツさん 雪ノ下在住 40歳
可能性は無限大
○…極楽寺の古民家・アナン邸から食欲をそそるスパイスの香りが漂う。週1回の頻度で開催する「レシピのない教室」の講師。旬の野菜や鮮魚を日本各地から取り寄せ、スパイスと合わせたレシピを即興で考案し、毎回8〜15品の料理を受講者とともに作りあげる。7年ほど前に始めた料理教室は鎌倉だけでなく、都内や横浜でも開催し、通算500回ほどを数える。「被らないように」と、毎回異なるレシピを披露する。
○…スパイスの輸入卸や販売を手がける(株)アナンの3代目。スパイスで蒸した大根やキャベツにレモンとターメリックをあえるなど、幼い頃から食卓には日本食の中にインドの要素を加えた料理が並んだ。都内生まれで1歳の時に鎌倉に移り住み、中学卒業まで過ごす。その後、スイスやスペインで語学とビジネスを学ぶ。大学卒業後に再び鎌倉へ戻り、家業を継いでいる。
○…アナンでは、自らブレンドしたスパイスを販売。試食販売では北海道から九州まで各地を飛び回り、お客さんが食べて買って、喜んでくれるのがうれしい。しかし同時に、「残ったスパイスの使い方に困り、容器が家に転がってしまっているのでは」と感じる。スパイスを有効に使い切ってもらえるように、料理教室を通して活用法を広く公開。「レシピは自分だけで抱えるよりも、シェアすることで新たなアイデアが生まれる」と、高め合うことで進化を続ける。
○…これまで作った416種類のレシピをまとめたオンライン書籍を昨年出版。1700ページにのぼる大作は、まもなく3万ダウンロードに達するほどの人気ぶり。「インドと日本の持ち味を存分に生かしたい」。秘められた可能性は無限大だ。