航空機器や電機機器の部品加工を行っている「株式会社由紀精密(本社・円蔵/大坪由男代表取締役)」が、フランスに拠点を構え、欧州への事業進出を狙っている。本格的には2013年を予定しており、市場開拓のために市内の他企業との連携も視野に入れている。
従業員数は約20人。茅ヶ崎機械金属工業団地内にある小さな町工場が日本を飛び出し、海外進出を狙う。「今後も大手メーカーに依存し続けていけば中小企業は全滅する。海外進出は自然な流れです」と話すのは大坪正人常務取締役。
同社の加工技術は折り紙つきで、取引先は200社を超える。宇宙航空研究開発機構(JAXA)なども認める技術力を誇り、2009年には「切削加工ドリームコンテスト」(試作・テスト加工部品部門)で金賞を獲得。2月2日には横浜で行われた自作コマの全国大会「全日本製造業コマ大戦」で優勝も果たした。
メリットはスピード
現在は、駐在拠点をフランスに置き、交渉を進めている。現地に会社を作る最大のメリットは納期を短縮する「スピード」。「日本企業の製品は納期が早いとよく言われます。その強みを生かしたい」。日本から製品を送るよりも納期を短縮することが可能で、緊急で対応しなければいけない時に強みを発揮することが出来る。すでに同社ではドイツの自動車会社をはじめ、欧州企業との取引があり、その実績も今回の決断の後押しとなった。
狙いを定める受注先は先端技術を扱う企業。「与えられた図面を作るだけではなく、一歩踏み込んだ提案をしていきたい。欧州の他企業とも十分に渡り合えると思います」と大坪常務は自信を覗かせる。自社の技術を生かせる「最先端」というフィールドで、異国でも勝負していきたいという。
また、市内の他企業と連携し、協力体制をとる意向であり、その方向性については「慎重に検討している」という。
中小企業の活路に
「海外に自分たちの会社を広めたいとかそういうことではないんですよ」。海外進出は夢物語ではなく、あくまでも現実的な考えがあってのこと。「日本企業の製品は世界中で使われていて、海外との取引は当たり前の時代です。必ずしも日本に留まる必要はない。そういう点では、日本の企業は遅れていると思います」と大坪常務。また、欧州を選んだのは「アメリカに比べ、何カ国語も話さなければいけない。最初に大変な方を経験しておけば、後が楽になる」という。
不況のあおりを受ける製造業。同社の挑戦は中小企業の新たな活路を見出す一歩となる。
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