不育症 助成制度設立へ 市民らの活動受け、市が検討
茅ヶ崎市議会定例会でこのほど、服部信明市長が「(不育症治療の)助成要件や医療機関との関係について協議調整を図り、できるだけ早い時期に実施できるよう努力する」と発言し、市として不育症治療の助成金制度設立の意向を示した。不育症の現状と、助成制度立ち上げへ向け活動してきた市民団体を取材した。
「不育症」とは、妊娠はするが流産や死産を2回以上繰り返して生児を得られない状態。厚生労働省研究班の調査によると、妊娠女性の4・2%が不育症ともいわれ、全国で約140万人の患者がいるとみられている。原因は様々だが近年解明されつつあり、治療すれば80%以上が出産できるということも分かってきた。
治療費や検査費用はほとんどが保険適用外のため多額となるが、多くの自治体に助成制度がないのが現状。そのため出産をあきらめる人も多いという。国に先駆けて独自の助成金制度を設けている自治体もあるが、その数は全国で約30自治体にとどまっている。
県内での声の高まり
県内では、昨年大和市が県内初の助成制度を立ち上げ、今年に入り横須賀市、秦野市、綾瀬市でも制度化された。茅ヶ崎市では一昨年頃から市議会で質問が上がり始め、市民団体「不育症そだってねっと茅ヶ崎」らも市に働きかけてきた。その声の高まりを受け、助成金制度の立ち上げに向けて調査研究、準備を行う運びとなった。
具体的な設立時期や助成内容は未定だが「できるだけ早い時期の成立を目指し、前向きに動いていく」と市子ども育成相談課、子育て支援課は話す。市では「不育症」の理解を深めるためのセミナーや医療関係者向けの研修会を開いているほか、今年4月には茅ヶ崎保健福祉事務所内に「神奈川県不妊・不育専門相談センター」が開設された。
勇気を持ち活動を
「不育症」の周知と公的支援を呼びかける活動を行う市民団体「不育症そだってねっと茅ヶ崎」。市内在住の主婦ら4人によって構成され、2011年に発足。同会代表の相田水里さん(28)は、自身も不育症治療を行い、今年女児を出産した。相田さんは「助成成立の動きはとても嬉しい。辛い時もありましたが、勇気を持って声を上げて良かった」と話す。また「まずは多くの人に『不育症とは何か』を知ってもらいたい。また、ひとりで悩んでいる患者は相談窓口や自分たちに相談してほしい。ひとりで抱え込まずに、悩みを共有することがまず大切」と呼びかけている。
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